会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


つながる時代のリスクに注視!

2018年03月 1日

 2月6日の株価の急落は、適温に漬かった我が国経済の先行きに少なからぬ不安を与えるものでありました。その前日の米国株の歴史的暴落に端を発したもので、米国の利上げ動向等にからんで、引き続き不安定な状況が続くものと予想されております。この度の米株価下落の要因の一つを、コンピュータによる自動取引(アルゴリズム取引)とする説が浮上しておりますが、それなりに説得力を持つ見解であると思われます。この自動取引については、システムの過剰反応やプログラムエラーなどにより株価の大変動を引き起こし、市場を混乱させるリスクが指摘されており、各国においてルールや規制を課す動きが出ているところであります。

 古来、人は、自らの活動をより省力化し、効率化するため、様々な利器を創り出し活用してきました。とりわけ、コンピュータは、日々高機能化し、インターネット技術の進歩と相まって、極めて大きな利便をもたらしております。こうした流れの中でIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の開発・導入は、私たちの生活や事業活動を画期的に変えるように思われます。将来、生産年齢人口が減少し経済の停滞が懸念される我が国にあっては、もとより、労働力の確保、労働生産性の向上といった課題を解決する上で、IoTAIの活用は避けて通ることはできないものとなるでしょう。しかし、インターネットであらゆるモノがつながる世界は、メリットの裏に、データの盗難、悪意あるコントロール、誤作動といった相応の危険が潜んでおります。話を更に敷えんすれば、近い将来、AI技術によってロボットが進化し、究極的には人間の脅威となるおそれも否定できません。ちなみに、ロボットという語は、チェコの作家カレル・チャペックが、今から100年程前に発表した戯曲「ロボット」で使用したことに由来するものですが、その戯曲のあらすじは、人間を労働から解放するために大量生産した人造人間(ロボット)が、やがて反乱を起こし人類を滅ぼすといった内容です。後に彼は、遠くない時期に馬鹿な人間大衆がこういった方向に向かうのではないかという恐れにとらわれたとも述べております。しかし、彼のこの恐れは、英国の物理学者ホーキング博士を始め著名な世界的専門家がAIロボット兵器による人類終焉の危機を警告している最近の事実を目にすると、SF世界の出来事として済ませることはできないように思われます。

 私たちは、技術の進歩とそれがもたらす恩恵のみに目を奪われ、往々にしてそこに潜む危険性を無視あるいは軽視しがちであります。

 私も従来より、連携、つながりの大切を訴えておりますが、昨今のようにIoTにより全てのモノがつながる時代における脅威とデメリットには、改めて目を向けていかなければならないと考える次第てあります。

実行の志士たらん

2018年02月 1日

 本年は、ご案内のとおり、明治元年から起算して150年目の年であります。昨今、国際社会において、経済的にも政治的にも存在感が弱まったと指摘される我が国の状況に鑑みると、我が国が近代化に向けて果敢に第一歩を踏み出した明治の「志」を振り返り見て国勢の浮揚につなげる絶好の機会であります。政府も、明治の精神に学び、日本の強みを再認識してそれを現代に活かし、日本の更なる発展を目指すことの重要性を訴え、官民を挙げて、「明治150年」事業を多面的に展開することとしております。

 さて、明治維新の精神的指導者の一人として多くの志士を育てた吉田松陰は、「夢なき者に理想なし 理想なき者に計画なし 計画なき者に実行なし 実行なき者に成功なし ゆえに、夢なき者に成功なし」という言葉を遺しております。これは、私の好きな言葉の一つですが、物事を成し遂げるに当って必要な手順を明快かつ簡潔に述べたもので、正に、企業経営においても実践すべきものであることは多言を要しません。経営者は、その事業の将来の夢を持ち、あるべき理想の姿とも言える経営ビジョンを描き、ビジョンを実現する戦略を具体化した経営計画を作り、計画を実行することにより、そのビジョン(夢)の実現を達成することができるわけであります。しかし、中小・小規模事業者にあっては、こうした取り組みを実施している者は、まだまだ少数であります。

 こうした中、当商工会議所は、小規模事業者支援に係る重点的な取り組みとして、経営発達支援事業に力を入れているところであります。この事業の要は、≪事業者が自らの事業の将来像を実現するために事業計画を立案し、その計画を実行することにより、経営の発達を図る≫という施策のスジ書の中で、事業計画の策定時点とその実施時点で会議所の支援担当者が事業者をきめ細かく支援するというところであります。会議所といたしましては、事業者の皆さんの積極的なチャレンジを期待しております。

 松陰は、「宜しく先ず一事より一日より始むべし」とも言っております。この言葉は、事を成すには、1つの事から、順次、2つ、3つ、百、千の事へと推して行い、また、1日から始め、2日、3日、百日、千日と努力を積み重ねていくことが重要であると指摘した上で、それ故、先ずその第一歩を、この一事から、そして今日というこの一日から踏み出すのが良い、と説くものと解されております。

 「明治150年」という節目に当たり、我が国を取り巻く諸環境の厳しさが続く中にあってこそ、国であれ事業者であれ、その志を達成するためには、将来のビジョンと計画を策定し、日々、一歩一歩、為すべきことを着実に実践していくことが大切であることに、改めて思いを致している次第であります。

戌(犬)を活かそう!

2018年01月 1日

 新年明けましておめでとうございます。

 平素より、会員を始めとした皆様には、当会議所事業に対し、一方ならぬご支援、・ご協力を頂き、誠にありがとうございます。年頭に当たり、厚く御礼を申し上げます。

 昨年の我が国の景気は、緩やかな回復基調で推移し、期間としては"いざなぎ景気"を超えるに至りましたが、先行きにつきましては、北朝鮮問題やアメリカの保護主義政策の動きなど、不透明感も強まっております。一方、地域におきましては、労働人材の不足、経営者の高齢化などを背景に中小企業の経営は、厳しさを増しております。こうした中、犬山商工会議所といたしましては、本年も日本商工会議所等との連携を強化しつつ、とりわけ次のような地域課題に重点を置いた取り組みを進めて参る所存でおります。

 その一つは、事業承継であります。中小企業経営者の高齢化とその後継者の不在は、「大廃業時代」の到来を現実のものとします。事業の承継は、個々の事業者の相続問題というより、世代交代を通じた地域産業の活性化問題と位置付けるべき喫緊の課題であります。当所は、2018年度に拡充される「事業承継税制」などの施策を活用し、円滑な事業承継を支援することとしております。

 次は、人手不足の解消であります。中小企業の人手不足は、深刻化しており、放置すれば事業の生産性を弱め、地域の産業基盤を著しく損なわせるものであり、官民を挙げて待った無しに取り組むべき課題であります。この克服に向け、女性、高齢者、外国人など多様な人材の活用を可能とする就業環境の整備が進むように、会議所としてできることを着実に実施することとしております。

 次は、地域創生であります。この課題につきましては、これまでも再三にわたり言及しておりますが、犬山の創生において、とりわけ、観光の振興が重要であると認識しております。この課題には、関係機関・団体と連携し、交流人口の量的・質的な拡大に向けて、犬山が持つヒト・モノ・コトを来訪者の満足に適うような形に磨き上げる取り組みを引き続き実施することとしております。

 さて、本年は、戌年であり、犬山にとっては誠に験の良い年であります。とすれば、「犬」を切り口として地域創生を図らない手はありません。私も何か良いアイデアはないかとあれこれ思案しているところであります。ちなみに、犬にまつわる故事、ことわざを見てみると、意外や犬は、マイナスのニュアンスを帯びたたとえとして使われている例が非常に多い(特に中国)ことに驚かされます。ともあれ、このメッセージも"犬の鳴き声"(※)程度のものかと苦笑しつつ、犬の良いイメージを活用する方策を見つけたいと思っております。 

 皆様も妙案がありましたら、ご教示くださるようお願いいたします。

(※)つまらない文章を驢馬や犬の鳴き声のようだとあざけり笑った故事で、

   「驢鳴犬吠(ろめいけんばい)」という成語になっている。

会頭職の三段跳び

2017年12月 1日

 10月初め以降、世界経済全体の景気回復や好調な企業業績を背景に、世界的に株価が上昇しており、我が国の株式市場も一時26年ぶりの高値を記録するなど、堅調に推移しております。しかし、こうした好ましい状況も永久には続かないことを念頭に置いて、動向を注視していく必要がります。

 昨年11月、私が3期目の会頭職に就き早1年が経ちました。この間、「頑張る企業を応援する」との掛け声の下、生産性の向上を目指して設備投資等を行う商工業者を支援する取り組みを始め、小規模事業者の持続的発展に向けた支援事業を実施して参りました。また、観光面におけるこの1年を振り返りますと、犬山祭車山行事のユネスコ無形文化遺産への登録が実現し、知名度の向上と相まって、城下町、犬山城への来訪者も増え続け、平日においてもスマートホンを片手にインスタグラムに興じる若者で賑わいを見せております。こうした動向を背景に、行政関係者などの視察者も増えており、犬山のまちづくりに対する他地域の関心の高まりを(うかが)い知る(よすが)ともなっております。畢竟(ひっきょう)するに、犬山の「観光力」は着実に強くなっているとの手応えを実感しております。

 さて、こうした中、任期3年の会頭職の2年目におきましては、会議所の重要な使命である地域商工業の発展・振興面では、小規模事業者の経営発達支援事業の仕上げと次の支援計画の策定を行って参ります。観光振興面では、城下町地区における火災跡地の再開発事業を立ち上げた犬山まちづくり(株)に協力し、賑わいを創出する拠点づくりに取り組んで参ることとしております。また、栗栖地区の「つり橋」構想につきましては、架橋のための諸条件についての調査・研究に着手し、その実現に向けての行動を一歩前進させることとしております。

 こうした今期の取り組みでありますが、陸上競技の3段跳びに例えれば、ホップの跳躍を終え、次に跳ぶステップの段階を迎えたところであります。3段跳びで重要かつ難しいのが2つ目の「ステップ」であることは多々指摘されるところでありますが、何事においても、第2段階のステップの良し悪しが、第3段階のジャンプの仕上り、ひいては最終結果の良し悪しに影響するということを示唆するものとして、傾聴すべき指摘ではないかと思われます。

 会頭としてのチャレンジ事業におきまして 第1年目の跳躍を踏まえ、その姿勢を崩さずに第2年目のステップにつなげ、ご期待に添える成果を出せるよう頑張って参る所存であります。

 このような私の3段跳びですが、皆様の応援、サポートをお願いする次第であります。

えびす様頼み

2017年11月 1日

去る9月28日に衆議院が解散され、本稿を執筆している10月中旬現在、各政党各候補者間において熾烈な選挙戦が繰り広げられております。今回の解散については、北朝鮮の核・ミサイル開発など地政学的リスクの増大、働き方改革の推進など内外の重要な政治課題が山積するこの時期、政治の空白を招くような事態は許されないとの批判も多々なされております。この点につきましては、個別具体的な事柄について論じる力はありませんが、全衆議院議員が一時的に不在であっても、来年度予算の編成や税制の改革など重要な事柄に関する作業は休むことなく続けられており、空白を生じることはないと考えております。こうした国家運営の日常・実際面を担っているのは、官僚であります。我が国の官僚は、優秀であり、国家運営面で大きな支障が生ずることはまずあり得ないと言えます。

 こうした中、9月25日発表された「月例経済報告」において、景気は引き続き緩やかな回復基調で推移しているとの判断が示されました。この判断を受け、アベノミクスによる景気拡大が戦後2番目に長い「いざなぎ景気」(57か月)を超えるに至り、次の焦点は、戦後最も長い「いざなみ景気」の記録(73か月)を超えるかどうかであるといった報道が散見されます。しかし、今回の景気拡大には実感が伴っていないとの指摘が少なからずあることも事実であります。これを裏付けるかのように、直近における各種中小企業景気調査を見ると、確かに、業況悪化との判断する者は減少しているものの、全体としては、景気は停滞していると感じる者が7割を占める一方、回復を実感している者は2割に満たないといった実態がうかがい知れます。私ども企業人といたしましては、このようにまだまだ困難を脱し切れていない地域中小企業にあって、一日たりとも経済の空白は引き起こさないという気概をもって、事業運営に取り組んで行かなければならないと考えております。

さて、折しも、神無月の時節、八百万の神々がこぞって出雲へと出かける中にあって、恵比寿の神は、「留守神」として出雲に行かず、神々の空白となる在地の人民・家業を守る役を果たすといわれております。加えて、恵比寿は、「いざなぎ」の神と「いざなみ」の神を両親として誕生した神であるとの説もこれあり、"商売繁盛"への根拠の無い期待も生まれて参ります。

 いずれにせよ、このメッセージが皆様の目に触れる頃には、総選挙の帰趨も決しており、新しい政権の下で、我が国経済の実態に即した諸対策が講じられ、全ての国民、企業が実感できる景気の拡大が実現するよう念願する次第であります。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 次 > 最後 »


犬山商工会議所

〒484-8510

愛知県犬山市天神町1-8

TEL:0568-62-5233

FAX:0568-61-3986

Mail:icci@gld.mmtr.or.jp