会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


民信無くば立たず

2018年07月 1日

 梅雨空が続いております。
 相互の不信から一時は戦争勃発が危惧された米朝関係でしたが、6月12日、トランプ大統領と金委員長の会談が実現し、緊張緩和への期待が高まってきた状況に安堵する思いでおります。今後の成り行きについては、共同声明の内容等を巡って議論は様々ですが、声明にある朝鮮半島の完全非核化に向けた作業の前進は、一にも二にも両国間の信頼の醸成に掛かっていることは申し上げるまでもありません。いずれにせよ、これが国際政治における梅雨の晴れ間に終わることなく、このまま梅雨明けとなることを強く念願する次第であります。
 一方、国内政治はといえば、大臣や政府職員の言動に起因する政府や政府機関に対する不信の念の増幅が国政機能の十全な発揮を阻害しているといった憂慮すべき事態にあることは、先にも述べたところであります。政治で重要なことは何かと問われた孔子は、十分な食の確保、十分な軍備の保有、政権への信頼の確保の3つであるとしつつ、この中でも、為政者に対する民の信頼が最も重要であり、これ(信頼)がなければ国は立ち行かないと答えております。国政に携わる者には、心してほしい言葉であります。
 顧みて民間の企業や団体の場合はといえば、直近でも、重大な反則行為の日大のアメフト部を筆頭に、家電リサイクル法違反のサカイ引越センター、データ改ざんの三菱マテリアル、酒税法違反のアサヒビール、個人情報流失の森永乳業、不正融資のスルガ銀行など、不祥事の発生は、それこそ枚挙にいとまがない状態となっております。こうした不祥事においては、一つ対応を誤れば、一瞬にして組織の信用・信頼を大きく損ない組織そのものの存亡問題に発展することも無きにしも非ず、であります。話はくどくなりますが、組織に属する個人への信頼がその組織への信頼にどう影響するかについての興味深い研究があります。結論は、「個人への信頼」の向上は、「組織への信頼」にあまり反映しないが、「個人への信頼」の低下は、直接的に強く反映するというものであります。要するに、個人に対する信頼が欠如すると、その人が所属する組織に対する信頼も欠如するということであります。
 犬山商工会義所は、申し上げるまでもなく、会員の皆様方の信頼に支えられ、当地域における商工業の発展や社会福祉の増進への寄与を目的として諸事業を実施する団体であります。私を始めとした犬山商工会議所に属する役・職員といたしましては、地域の皆様方の信頼を損なうようなことが無いように精進に努めるとともに、実施する事業の成果を重ね、その信頼に応えていかなければならないものと改めて気を引き締めている次第であります。
 今後ともご支援の程、よろしくお願いいたします。

国政の働き方改革が必要?

2018年06月 1日

6月、1年のうちで唯一、国民の祝日が無い月に入ります。休日が少ない分、有給休暇が取りやすい月ではあるかもしれません。

さて、国政では、いわゆる「モリカケ問題」に揺れ、5月の連休を挟んで3週間近くも国会審議が停滞し、政府が最重要法案と位置付けている「働き方改革関連法案」の行方が気になるところであります。
我が国では、経済のグローバル化や少子高齢化などを背景に経済が活力を欠く中にあって、育児や介護、過労死につながる長時間労働など、生活と働き方にまつわる問題が大きくクローズアップされております。こうした中、「ワーク・ライフ・バランスの実現」と労働生産性の向上を目指して「働き方」を改革する必要性が喧伝され、労働基準法を始めとした8つの法律の改正案が「働き方改革関連法案」として今国会に提出されたことはご案内のとおりであります。
エンゲルスが言うように『労働が猿を人に進化させた』かどうかはさておき、労働は、人が生きていくことの本質にかかわる問題であると言っても過言ではないと思っております。そうだとすれば、労働は、我々の暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらすと同時に、国の活力を高め持続可能な社会を実現させるものでなければなりません。この意味で、「働き方」は、その時代にあった形で進化させていかなければならないものと考えております。
閑話休題、改めてこの法案の中身を見ますと、〝時間外労働の上限規制〟  〝月60時間を超える残業に係る割増賃金率の中小企業への適用猶予措置の廃止〟〝有給休暇の取得奨励〟〝高度プロフェッショナル制度の新設〟〝同一労働同一賃金の制度化〟など、人手不足の影響を受けている中小企業にとっては厳しい対応を迫られると思われる措置も少なくありません。一方で国や県において、人手不足や働き方改革について悩んでいる中小企業に対し、〝「働き方改革推進センター」等を窓口とした相談体制の整備〟〝生産性の向上及び業務の効率化等のための設備投資・IT導入や人材の育成に対する補助・助成〟など、様々な支援策が用意されております。ともあれ、中小企業には法の施行期日の面で一部猶予があるとは言え、準備を怠るわけには参りません。我々地域の中小企業としては、こうした事態を、働き方・働かせ方の在り方について再考するとともに、女性・高齢者・外国人等多様な労働力やAIの活用を視野に入れつつ、優れた人材とメリハリのきいた労働を確保することにより生産性の向上を図る好機ととらえるべきであると考える次第であります。
 意気込みを持って本稿を書いている正にこの時、又ぞろ本法案に係る厚労省の調査データの不適切さが問題となり、今国会での成立に暗雲が懸ってきました。これにつけても、昨今の国政状況を極めて遺憾に思うのは私だけでしょうか。

武力戦争はダメ、経済戦争がマシ

2018年05月 1日

今年の犬山祭りは、懸念された雨こそ降らなかったものの、花は散り、やや冷気が流れ込む中での幕開けとなりました。とはいえ城下町地区は熱気にあふれ、絢爛な山車の巡行やカラクリの競演は多くの人々を魅了し、2日間の行事を無事終了することができました。関係者の一人として、祭りの後の一抹の寂しさとともに、ホッとしているところであります。

さて、「アメリカ・ファースト」を標ぼうするトランプ米大統領は、安全保障に対する脅威を理由に、鉄鋼・アルミ製品の輸入に対し追加関税を課す方針を表明しました。更に、知的財産権の侵害等を理由に、ハイテク、最先端分野における中国からの輸入品を対象に制裁措置を発動する大統領令に署名をしました。これに対し中国は、相応の対抗措置をとると応酬しており、両国が貿易戦争に突入するのではないかとの懸念が広がっております。米国のこの度の措置の背景としては、巨額な貿易赤字の是正もさることながら、国際社会における中国の台頭、米国の覇権への挑戦に対する危機感があるとの見方も否めません。近時、中国の経済力は急速に拡大し、今や、量と質の両面において米国に迫る勢いを見せている状況に鑑みれば、米国に産業面で中国を封じ込める意図があるとしても何ら不思議ではありません。

英国の著名な歴史学者が、かつて「主要な国際戦争は、貿易をめぐる戦争であった」(E.H.カー)と述べたように、経済は、一国の安全保障に大きく関係するものであり、グローバル化の下においてその重要性は一層増しております。経済力は、技術力、軍事力を向上させるなど国のパワーの源泉であり、安全保障の目的であると同時に、また、昨今の北朝鮮に対する経済制裁のように、安全保障のための手段としても利用されます。とすれば、国際社会において経済政策と戦争は、極めて密接な関係にあると言えます。

 いずれの国も、覇権を維持、強化するために貿易戦争を仕掛け、それがエスカレートすることによって「武力による熱い戦争」を引き起こすことは、絶対にあってはなりません。いずれの戦争にせよ、勃発すれば当事国のみならず全世界がとばっちりを受けますが、「貿易戦争」と「熱い戦争」とでは被る惨禍は、天と地ほどの差があります。この意味において、個人的には、「ミサイルを使う戦争」ではなく「関税を使う戦争」で済まされる限りにおいて、まだ良しとすべきかとも思っております。

 ロス米商務長官は、今回の措置について、「第3次世界大戦に突入」しようとしているのではなく、「交渉による解決」への扉は開いている、と述べておりますが、両国の理性的な対応に期待をかける次第であります。

会議所の"白袴"を紺袴に

2018年04月 1日

3月上旬、世界貿易を巡って相反する2つの出来事がありました。8日、トランプ大統領が輸入制限措置文書に署名し、翌9日、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の署名式がチリ・サンティアゴで挙行されました。前者は、鉄鋼・アルミ製品に高関税を課すというもので、EU、中国などは発動されれば対抗措置をとると表明しており、最悪の場合には貿易戦争に発展し、世界経済の混乱を招くことが懸念されております。後者は、米国が離脱したTPPに我が国を始め11か国が署名したもので、アジア太平洋地域における自由で公平な貿易・経済秩序の構築が期待されるものであります。このように混迷する国際経済環境の下、緩やかな景気回復基調にある我が国においては、今後とも難しい経済のかじ取りに追われる局面が続きそうであります。

 こうした中にあって、現在、我が国では、国際競争力を高めて経済成長を達成すべく、「生産性革命」と「人づくり革命」の政策パッケージが実行されております。中小・小規模事業分野においては、商工会議所等と一体となって行う生産性の向上等に資する取り組みとしての持続化補助金事業や広域型の販路開拓事業を始め、喫緊の課題である事業承継・世代交代集中事業といった支援策がリストアップされており、商工会議所は、これらの支援策を活用して地域中小・小規模事業者の「革命」を後押しする使命を帯びております。

 折しも、当犬山商工会議所においては29年度事業を総括する時期に当り、地域経済の要である小規模事業者の「経営発達支援事業」について、第3者から成る委員会を設置して実施状況の検証を行った結果、総じて「概ね良」という評価を受けたところであります。とりわけ、持続化補助金の採択率は、76.5%と県下22商工会議所中トップであり、本事業に係る当会議所の支援力は自他ともに認めるところとなっております。一方で、同検証においては職員の支援面での生産性の向上を図るべきとの指摘があり、支援能力をなお一層強化する必要性を認識したところでもあります。更に、当会議所では、今後、ベテラン職員の定年退職が続く時代を迎え、支援能力の継承が構造的な課題となることを考え合わせると、「生産性革命」と「人づくり革命」は、取りも直さず当会議所自体の命題でもあることが自覚され、"紺屋の白袴"などと言われることのないよう、その達成に努めて参る所存でおります。

 最後に、城下町地区の現況について一言。現下における犬山城・城下町地区の活況は、私でさえも目を見張るものがあります。メディアやSNSでの取り上げの効果もありますが、ここには来訪者を引き寄せる常に何かを期待させる魅力があるからであると思っております。3月7日、この城下町にレストランがオープンし、3年越しとなった火災禍からの復興もやっと完了いたしました。このレストラン「ぐーまる」の開業に対しては、来訪者の食の楽しみに応える新たな魅力の1つとして城下町地区の賑わいを支えてもらいたいとの期待を込めて、盛大な拍手を送る次第であります。

つながる時代のリスクに注意!

2018年03月 1日

 2月6日の株価の急落は、適温に漬かった我が国経済の先行きに少なからぬ不安を与えるものでありました。その前日の米国株の歴史的暴落に端を発したもので、米国の利上げ動向等にからんで、引き続き不安定な状況が続くものと予想されております。この度の米株価下落の要因の一つを、コンピュータによる自動取引(アルゴリズム取引)とする説が浮上しておりますが、それなりに説得力を持つ見解であると思われます。この自動取引については、システムの過剰反応やプログラムエラーなどにより株価の大変動を引き起こし、市場を混乱させるリスクが指摘されており、各国においてルールや規制を課す動きが出ているところであります。

 古来、人は、自らの活動をより省力化し、効率化するため、様々な利器を創り出し活用してきました。とりわけ、コンピュータは、日々高機能化し、インターネット技術の進歩と相まって、極めて大きな利便をもたらしております。こうした流れの中でIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の開発・導入は、私たちの生活や事業活動を画期的に変えるように思われます。将来、生産年齢人口が減少し経済の停滞が懸念される我が国にあっては、もとより、労働力の確保、労働生産性の向上といった課題を解決する上で、IoT、AIの活用は避けて通ることはできないものとなるでしょう。しかし、インターネットであらゆるモノがつながる世界は、メリットの裏に、データの盗難、悪意あるコントロール、誤作動といった相応の危険が潜んでおります。話を更に敷えんすれば、近い将来、AI技術によってロボットが進化し、究極的には人間の脅威となるおそれも否定できません。ちなみに、ロボットという語は、チェコの作家カレル・チャペックが、今から100年程前に発表した戯曲「ロボット」で使用したことに由来するものですが、その戯曲のあらすじは、人間を労働から解放するために大量生産した人造人間(ロボット)が、やがて反乱を起こし人類を滅ぼすといった内容です。後に彼は、遠くない時期に馬鹿な人間大衆がこういった方向に向かうのではないかという恐れにとらわれたとも述べております。しかし、彼のこの恐れは、英国の物理学者ホーキング博士を始め著名な世界的専門家がAIロボット兵器による人類終焉の危機を警告している最近の事実を目にすると、SF世界の出来事として済ませることはできないように思われます。

 私たちは、技術の進歩とそれがもたらす恩恵のみに目を奪われ、往々にしてそこに潜む危険性を無視あるいは軽視しがちであります。

 私も従来より、連携、つながりの大切を訴えておりますが、昨今のようにIoTにより全てのモノがつながる時代における脅威とデメリットには、改めて目を向けていかなければならないと考える次第てあります。

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