会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


武力戦争はダメ、経済戦争がマシ

2018年05月 1日

今年の犬山祭りは、懸念された雨こそ降らなかったものの、花は散り、やや冷気が流れ込む中での幕開けとなりました。とはいえ城下町地区は熱気にあふれ、絢爛な山車の巡行やカラクリの競演は多くの人々を魅了し、2日間の行事を無事終了することができました。関係者の一人として、祭りの後の一抹の寂しさとともに、ホッとしているところであります。

さて、「アメリカ・ファースト」を標ぼうするトランプ米大統領は、安全保障に対する脅威を理由に、鉄鋼・アルミ製品の輸入に対し追加関税を課す方針を表明しました。更に、知的財産権の侵害等を理由に、ハイテク、最先端分野における中国からの輸入品を対象に制裁措置を発動する大統領令に署名をしました。これに対し中国は、相応の対抗措置をとると応酬しており、両国が貿易戦争に突入するのではないかとの懸念が広がっております。米国のこの度の措置の背景としては、巨額な貿易赤字の是正もさることながら、国際社会における中国の台頭、米国の覇権への挑戦に対する危機感があるとの見方も否めません。近時、中国の経済力は急速に拡大し、今や、量と質の両面において米国に迫る勢いを見せている状況に鑑みれば、米国に産業面で中国を封じ込める意図があるとしても何ら不思議ではありません。

英国の著名な歴史学者が、かつて「主要な国際戦争は、貿易をめぐる戦争であった」(E.H.カー)と述べたように、経済は、一国の安全保障に大きく関係するものであり、グローバル化の下においてその重要性は一層増しております。経済力は、技術力、軍事力を向上させるなど国のパワーの源泉であり、安全保障の目的であると同時に、また、昨今の北朝鮮に対する経済制裁のように、安全保障のための手段としても利用されます。とすれば、国際社会において経済政策と戦争は、極めて密接な関係にあると言えます。

 いずれの国も、覇権を維持、強化するために貿易戦争を仕掛け、それがエスカレートすることによって「武力による熱い戦争」を引き起こすことは、絶対にあってはなりません。いずれの戦争にせよ、勃発すれば当事国のみならず全世界がとばっちりを受けますが、「貿易戦争」と「熱い戦争」とでは被る惨禍は、天と地ほどの差があります。この意味において、個人的には、「ミサイルを使う戦争」ではなく「関税を使う戦争」で済まされる限りにおいて、まだ良しとすべきかとも思っております。

 ロス米商務長官は、今回の措置について、「第3次世界大戦に突入」しようとしているのではなく、「交渉による解決」への扉は開いている、と述べておりますが、両国の理性的な対応に期待をかける次第であります。

会議所の"白袴"を紺袴に

2018年04月 1日

3月上旬、世界貿易を巡って相反する2つの出来事がありました。8日、トランプ大統領が輸入制限措置文書に署名し、翌9日、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の署名式がチリ・サンティアゴで挙行されました。前者は、鉄鋼・アルミ製品に高関税を課すというもので、EU、中国などは発動されれば対抗措置をとると表明しており、最悪の場合には貿易戦争に発展し、世界経済の混乱を招くことが懸念されております。後者は、米国が離脱したTPPに我が国を始め11か国が署名したもので、アジア太平洋地域における自由で公平な貿易・経済秩序の構築が期待されるものであります。このように混迷する国際経済環境の下、緩やかな景気回復基調にある我が国においては、今後とも難しい経済のかじ取りに追われる局面が続きそうであります。

 こうした中にあって、現在、我が国では、国際競争力を高めて経済成長を達成すべく、「生産性革命」と「人づくり革命」の政策パッケージが実行されております。中小・小規模事業分野においては、商工会議所等と一体となって行う生産性の向上等に資する取り組みとしての持続化補助金事業や広域型の販路開拓事業を始め、喫緊の課題である事業承継・世代交代集中事業といった支援策がリストアップされており、商工会議所は、これらの支援策を活用して地域中小・小規模事業者の「革命」を後押しする使命を帯びております。

 折しも、当犬山商工会議所においては29年度事業を総括する時期に当り、地域経済の要である小規模事業者の「経営発達支援事業」について、第3者から成る委員会を設置して実施状況の検証を行った結果、総じて「概ね良」という評価を受けたところであります。とりわけ、持続化補助金の採択率は、76.5%と県下22商工会議所中トップであり、本事業に係る当会議所の支援力は自他ともに認めるところとなっております。一方で、同検証においては職員の支援面での生産性の向上を図るべきとの指摘があり、支援能力をなお一層強化する必要性を認識したところでもあります。更に、当会議所では、今後、ベテラン職員の定年退職が続く時代を迎え、支援能力の継承が構造的な課題となることを考え合わせると、「生産性革命」と「人づくり革命」は、取りも直さず当会議所自体の命題でもあることが自覚され、"紺屋の白袴"などと言われることのないよう、その達成に努めて参る所存でおります。

 最後に、城下町地区の現況について一言。現下における犬山城・城下町地区の活況は、私でさえも目を見張るものがあります。メディアやSNSでの取り上げの効果もありますが、ここには来訪者を引き寄せる常に何かを期待させる魅力があるからであると思っております。3月7日、この城下町にレストランがオープンし、3年越しとなった火災禍からの復興もやっと完了いたしました。このレストラン「ぐーまる」の開業に対しては、来訪者の食の楽しみに応える新たな魅力の1つとして城下町地区の賑わいを支えてもらいたいとの期待を込めて、盛大な拍手を送る次第であります。

つながる時代のリスクに注視!

2018年03月 1日

 2月6日の株価の急落は、適温に漬かった我が国経済の先行きに少なからぬ不安を与えるものでありました。その前日の米国株の歴史的暴落に端を発したもので、米国の利上げ動向等にからんで、引き続き不安定な状況が続くものと予想されております。この度の米株価下落の要因の一つを、コンピュータによる自動取引(アルゴリズム取引)とする説が浮上しておりますが、それなりに説得力を持つ見解であると思われます。この自動取引については、システムの過剰反応やプログラムエラーなどにより株価の大変動を引き起こし、市場を混乱させるリスクが指摘されており、各国においてルールや規制を課す動きが出ているところであります。

 古来、人は、自らの活動をより省力化し、効率化するため、様々な利器を創り出し活用してきました。とりわけ、コンピュータは、日々高機能化し、インターネット技術の進歩と相まって、極めて大きな利便をもたらしております。こうした流れの中でIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の開発・導入は、私たちの生活や事業活動を画期的に変えるように思われます。将来、生産年齢人口が減少し経済の停滞が懸念される我が国にあっては、もとより、労働力の確保、労働生産性の向上といった課題を解決する上で、IoTAIの活用は避けて通ることはできないものとなるでしょう。しかし、インターネットであらゆるモノがつながる世界は、メリットの裏に、データの盗難、悪意あるコントロール、誤作動といった相応の危険が潜んでおります。話を更に敷えんすれば、近い将来、AI技術によってロボットが進化し、究極的には人間の脅威となるおそれも否定できません。ちなみに、ロボットという語は、チェコの作家カレル・チャペックが、今から100年程前に発表した戯曲「ロボット」で使用したことに由来するものですが、その戯曲のあらすじは、人間を労働から解放するために大量生産した人造人間(ロボット)が、やがて反乱を起こし人類を滅ぼすといった内容です。後に彼は、遠くない時期に馬鹿な人間大衆がこういった方向に向かうのではないかという恐れにとらわれたとも述べております。しかし、彼のこの恐れは、英国の物理学者ホーキング博士を始め著名な世界的専門家がAIロボット兵器による人類終焉の危機を警告している最近の事実を目にすると、SF世界の出来事として済ませることはできないように思われます。

 私たちは、技術の進歩とそれがもたらす恩恵のみに目を奪われ、往々にしてそこに潜む危険性を無視あるいは軽視しがちであります。

 私も従来より、連携、つながりの大切を訴えておりますが、昨今のようにIoTにより全てのモノがつながる時代における脅威とデメリットには、改めて目を向けていかなければならないと考える次第てあります。

実行の志士たらん

2018年02月 1日

 本年は、ご案内のとおり、明治元年から起算して150年目の年であります。昨今、国際社会において、経済的にも政治的にも存在感が弱まったと指摘される我が国の状況に鑑みると、我が国が近代化に向けて果敢に第一歩を踏み出した明治の「志」を振り返り見て国勢の浮揚につなげる絶好の機会であります。政府も、明治の精神に学び、日本の強みを再認識してそれを現代に活かし、日本の更なる発展を目指すことの重要性を訴え、官民を挙げて、「明治150年」事業を多面的に展開することとしております。

 さて、明治維新の精神的指導者の一人として多くの志士を育てた吉田松陰は、「夢なき者に理想なし 理想なき者に計画なし 計画なき者に実行なし 実行なき者に成功なし ゆえに、夢なき者に成功なし」という言葉を遺しております。これは、私の好きな言葉の一つですが、物事を成し遂げるに当って必要な手順を明快かつ簡潔に述べたもので、正に、企業経営においても実践すべきものであることは多言を要しません。経営者は、その事業の将来の夢を持ち、あるべき理想の姿とも言える経営ビジョンを描き、ビジョンを実現する戦略を具体化した経営計画を作り、計画を実行することにより、そのビジョン(夢)の実現を達成することができるわけであります。しかし、中小・小規模事業者にあっては、こうした取り組みを実施している者は、まだまだ少数であります。

 こうした中、当商工会議所は、小規模事業者支援に係る重点的な取り組みとして、経営発達支援事業に力を入れているところであります。この事業の要は、≪事業者が自らの事業の将来像を実現するために事業計画を立案し、その計画を実行することにより、経営の発達を図る≫という施策のスジ書の中で、事業計画の策定時点とその実施時点で会議所の支援担当者が事業者をきめ細かく支援するというところであります。会議所といたしましては、事業者の皆さんの積極的なチャレンジを期待しております。

 松陰は、「宜しく先ず一事より一日より始むべし」とも言っております。この言葉は、事を成すには、1つの事から、順次、2つ、3つ、百、千の事へと推して行い、また、1日から始め、2日、3日、百日、千日と努力を積み重ねていくことが重要であると指摘した上で、それ故、先ずその第一歩を、この一事から、そして今日というこの一日から踏み出すのが良い、と説くものと解されております。

 「明治150年」という節目に当たり、我が国を取り巻く諸環境の厳しさが続く中にあってこそ、国であれ事業者であれ、その志を達成するためには、将来のビジョンと計画を策定し、日々、一歩一歩、為すべきことを着実に実践していくことが大切であることに、改めて思いを致している次第であります。

戌(犬)を活かそう!

2018年01月 1日

 新年明けましておめでとうございます。

 平素より、会員を始めとした皆様には、当会議所事業に対し、一方ならぬご支援、・ご協力を頂き、誠にありがとうございます。年頭に当たり、厚く御礼を申し上げます。

 昨年の我が国の景気は、緩やかな回復基調で推移し、期間としては"いざなぎ景気"を超えるに至りましたが、先行きにつきましては、北朝鮮問題やアメリカの保護主義政策の動きなど、不透明感も強まっております。一方、地域におきましては、労働人材の不足、経営者の高齢化などを背景に中小企業の経営は、厳しさを増しております。こうした中、犬山商工会議所といたしましては、本年も日本商工会議所等との連携を強化しつつ、とりわけ次のような地域課題に重点を置いた取り組みを進めて参る所存でおります。

 その一つは、事業承継であります。中小企業経営者の高齢化とその後継者の不在は、「大廃業時代」の到来を現実のものとします。事業の承継は、個々の事業者の相続問題というより、世代交代を通じた地域産業の活性化問題と位置付けるべき喫緊の課題であります。当所は、2018年度に拡充される「事業承継税制」などの施策を活用し、円滑な事業承継を支援することとしております。

 次は、人手不足の解消であります。中小企業の人手不足は、深刻化しており、放置すれば事業の生産性を弱め、地域の産業基盤を著しく損なわせるものであり、官民を挙げて待った無しに取り組むべき課題であります。この克服に向け、女性、高齢者、外国人など多様な人材の活用を可能とする就業環境の整備が進むように、会議所としてできることを着実に実施することとしております。

 次は、地域創生であります。この課題につきましては、これまでも再三にわたり言及しておりますが、犬山の創生において、とりわけ、観光の振興が重要であると認識しております。この課題には、関係機関・団体と連携し、交流人口の量的・質的な拡大に向けて、犬山が持つヒト・モノ・コトを来訪者の満足に適うような形に磨き上げる取り組みを引き続き実施することとしております。

 さて、本年は、戌年であり、犬山にとっては誠に験の良い年であります。とすれば、「犬」を切り口として地域創生を図らない手はありません。私も何か良いアイデアはないかとあれこれ思案しているところであります。ちなみに、犬にまつわる故事、ことわざを見てみると、意外や犬は、マイナスのニュアンスを帯びたたとえとして使われている例が非常に多い(特に中国)ことに驚かされます。ともあれ、このメッセージも"犬の鳴き声"(※)程度のものかと苦笑しつつ、犬の良いイメージを活用する方策を見つけたいと思っております。 

 皆様も妙案がありましたら、ご教示くださるようお願いいたします。

(※)つまらない文章を驢馬や犬の鳴き声のようだとあざけり笑った故事で、

   「驢鳴犬吠(ろめいけんばい)」という成語になっている。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次 > 最後 »


犬山商工会議所

〒484-8510

愛知県犬山市天神町1-8

TEL:0568-62-5233

FAX:0568-61-3986

Mail:icci@gld.mmtr.or.jp