会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


「観光立市」? 犬山

2017年05月 1日

ユネスコ無形文化遺産となって初めて開催された犬山祭は、天候にも恵まれ多くの人出でにぎわい、盛況のうちに終了しました。犬山とその文化伝統に対する人々の関心の高まりの表れであり、市民として、また国民として子子孫孫にわたって引き継いで行かなければならないとの使命感を新たにしております。

犬山は観光資源が持つポテンシャルを活かして地方創生を実現する余地が極めて大きいことは、繰り返し述べているところであります。今回は、『新・観光立国論』を著したデービッド・アトキンソン氏による我が国の観光産業振興についての提言を踏まえて、"観光立市"犬山を考えてみました。

同氏の提言は、インバウンド観光に焦点を当てたものですが、犬山の観光を論ずる際にも一つの視点を与えてくれるものと評価しております。彼は、観光立国に必要な条件として「天候」、「自然」、「文化」、「食事」の4つを掲げ、日本はこの条件を全て備えているがそのポテンシャルが発揮されていないがために観光で立国できずにいると指摘するとともに、いわゆる「おもてなし」については、観光の動機にはならない(わざわざ高い金を払って「おもてなし」を体験しに来訪はしない)と斬って捨てます。その上で、観光立国を実現するためのポイントとして、観光客が何を求めて来訪するのかその声を真摯に聞き、そのニーズに応じて観光資源を提供することの必要性と、観光収入(稼ぎ)を意識することの重要性を説いています。

 さて、アトキンソンの観光立国論に即して犬山の観光ポテンシャルを見てみますと、天候面では特段の問題は無く、自然及び文化面での優位性は非常に高いものの、食事面では観光客にアピールする点が弱いといえます。犬山を観光で立つ市とするためには、ポテンシャルの強化とその有効活用が必要であり、この場合、観光客は出身国(地)、年齢、裕福度等によって求めるものが異なるという前提に立って提供する観光資源の内容、対価等を決定するといった、観光客の視線に沿った対応を工夫することが重要です。また、観光を稼ぐ産業と位置付け、景観・名勝や文化財の観光産業的利・活用に強く踏み込むことも必要ではないかと考えております。とりわけ、犬山では、魅力のある「食」の提供が十分ではなく、この面での観光資源開発が急務と言えます。こうした中、近時、インスタグラムを介し、"恋小町だんご"、"いちごソフト"に引き寄せられた若者の来訪が激増しております。集客の具体的事例の一つとして、今後の取り組みに対する示唆をくみ取ることができます。

 観光とは、「光」、すなわちその地の優れた風景、文物などを観ることがその語源(「易経」)と言われますが、観光地サイドからは、正に、地域の個性を発揮しそれ見せること、すなわちその「光」を誇り示すこととなります。と考えますと、犬山を光り輝かせる上において、観光が特別の意味を持つように思われてきます。

頑張る企業でスタート

2017年04月 1日

第838回犬山祭を皮切りに、平成29年度がスタートします。犬山商工会議所におきましても、新年度事業計画に基づき諸事業を実施する運びといたしております。 

さて、この事業計画につきまして、本年度は、新しい試みを実施いたしました。それは、事業を企画・展開する心構えとして、スローガンを掲げたということであります。事業に対する皆様のご理解の一助に資することを期して、それらを紹介させていただきます。

まず、会議所の事業理念と位置付けられるスローガンとして、「がんばる企業を応援します!」を掲げます。これは、自らの向上のため自主的な努力をする中小事業者を支援するという意であり、かつての社会政策的な保護、指導とは一線を画した姿勢を示すものであります。

この理念の下に、事業方針とも言える5つのサブ・スローガンを掲げます。1つ目は、「進取し、先駆ける商工会議所」であります。地域が抱える課題やニーズを先取りし、それらに果敢に挑戦する姿勢を持とうというものであります。この活動の一環として、国、県、市等に対し、様々な要望、政策提言を行って参ります。2つ目は、「身近でコンパクトな商工会議所」を掲げました。無駄を省いた小さな組織ながら、最新の支援情報・ネットワークを有し、どんな相談にも応じられ、身近で頼りになる商工業者の"かかりつけ医"としての当会議所の在りようを示すもので、このスローガンの下、組織力、財務基盤の強化とこれによる会員サービスの充実を図って参ることとしております。3つ目は、「連携を図り活力ある地域創造を目指そう」であります。このスローガンでは、当地域また犬山商工会議所に不足するものを他の地域、他の商工会議所などとの連携、交流で補い、犬山の活力を養おうという姿勢を標ぼうしております。これまでも、内外の多様な団体との連携、交流事業を実施しておりますが、事前に具体的な成果を計って仕組んだ連携はうまく行かないと思っております。経験的には、"連携と交流で思いもよらぬ花が咲く"という連携の妙味を実感する次第であります。4つ目は、「犬山の経営を全力応援、明日の犬山を創る」であります。現下、商工会議所の重要使命と位置付けられる、地域経済の要である小規模事業者の経営発達を図るための支援活動を念頭に置いたものであります。 最後のスローガンは、「観・農・商工連携」で犬山創生」であります。観光振興は、農・商工業など幅広い地域産業の活性化に直結することから、相互にメリットを得るため、連携と地域の一体的取り組みが必要であり、商工会議所がその中核を担うとの姿勢を示したものであります。その一つとして、観光資源面でのミッシングリンクの解消とそのネットワーク化の試みとして、栗栖地区のつり橋構想の実現を目指して参ります。

以上、平成29年度の事業を紹介いたしました。もとより、実施に困難が伴うものも有りますが、「皮切りの一灸」のことわざもあり、頑張って参る所存でおります。

皆様方のご理解、ご支援をお願いする次第であります。

※「皮切りの(ひと)()」:何事も最初は苦しいがその後は楽になる、という意味の諺。

歴史は繰り返す

2017年03月 1日

昨今、トランプ大統領の一挙手一投足に世界の耳目が集まり、その言動に一喜一憂する感があります。政権発足直後、TPPからの撤退、オバマケアの撤廃など矢継ぎ早な政策変更が行われましたが、とりわけ、移民・難民政策としてのメキシコとの国境沿いの壁建設や中東7か国からの入国制限令は、トランプ政策の真骨頂を発揮したもので、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論を呼び起こしております。

 "人種のるつぼ"とはアメリカ合衆国を象徴する言葉として有名ですが、2400万人とも言われる外国人労働者がアメリカの経済成長力を支えていることは常々説かれているところでありますし、1000万人を超えると推計される不法移民の存在が労働力を補完し実質的にGDPの増大に寄与しているとの調査報告もあります。更には、ヤフー(台湾人)、グーグル(ロシア人)といった代表的企業の名を挙げ、移民等の外国人材が創業によるイノベーション創出の原動力になっている事実が指摘されております。反面、移民等の増加は、国内労働者への圧迫、社会保障費の増大、文化的軋轢など、政治的・経済的・社会的な問題を引き起こしており、アメリカのみならず、このためにEU離脱を決めたイギリスを始めEU諸国も程度の差はあれこの難問に直面しております。こうした中、テロ等の犯罪を防止するために外国人の入国を制限するものと説明され、署名された大統領令については、国論を二分する議論を引き起こし、現在、その是非が司法の場で争われる事態にまでなっております。

 一方、我が国においても、少子高齢化が進み、2060年には生産年齢人口が半減し、人材不足から今後の経済成長が困難になり、外国人材活用の在り方についての議論は、避けて通れないものとなっております。政府が進めている働き方改革の中で、ダイバーシティ(多様性)マネジメントを推進する一環として、外国人の受け入れ拡大が検討項目の一つに位置付けられたことは、こうした事態へ対応したものであります。今後、いろいろな視点からの議論が期待されるところであります。

さて、(くだん)の大統領令は、(いにしえ)の中国におけるエピソードを思い起こさせます。BC237年、秦王の政(後の始皇帝)は、他国人が起した反乱に恐れをなし、外国人を追放するために「逐客令(ちくかくれい)」を出します。この折、寵臣の李斯は、秦の繁栄が多くの外国人材によって支えられているという事実を指摘して政王を諌め、この命令を撤回させたというものです。周知のとおり、その後、秦は、中国全土を統一する初代王朝として歴史に名を残すに至りました。時代背景も政治状況も全く異なるものの、二つの命令の根底に流れるものに排外という類似性を見るのは私だけでしょうか。この度の出来事は、歴史は繰り返すという格言の一例として、その成り行きが注目されます。

「美しい村」犬山を創ろう

2017年02月 1日

"美しい村など はじめからあったわけではない。美しく暮らそうという村人がいて 美しい村になるのである"。柳田國男の言葉としてよく紹介される言葉であります。周知のとおり、柳田國男は、村(郷土)の良さを愛し、土地とそこに住む人との結びつきを評価した民俗学者であります。彼のこの言葉は、地方創生の合言葉の下、魅力ある地域の在り方を模索する我々にとって、単なる名言以上の意味をもっているように思われます。

 まちづくり、地域づくりを進める上でのポイントとして、柳田國男のこの言葉の引用と相まって、地元の住人が当事者意識をもって、現に地元にあるものの潜在力を探し出し、磨き、魅力のあるものにすることの重要性、有効性が提唱されております。「地元学」のすすめであります。豊かな自然風土や歴史的・文化的資源に恵まれた犬山には、地元が持つ潜在力がまだまだ多くあります。この潜在力を見出す役割を担う者こそ、その地に住みその地をよく知る人であり、こうした人たちが主体的に相互につながりをもって地元を良くしようと努力することの大切さを改めて思い起こす次第であります。

 さて、柳田國男は、その随筆集『豆の葉と太陽』所収の「美しき村」の中で、「村を美しくする計画などといふものは有り得ないので、或は良い村が自然に美しく、なって行くのでは無いかとも思はれる」、また、「村は住む人のほんの僅かな気持から、美しくもまづくもなるものだ」と記しております。彼は、美しい村とは何か、良い村とは何か、はっきりとは定義付けていませんが、私としては、「美しい村」とは外部から見て魅力のあるまち・地域、「良い村」とは住む人が心地よく暮らしやすいまち・地域ととらえると、しっくりとします。

 犬山の自然を元気にし、文化を元気にし、経済を元気にし、住みやすい犬山をつくるために犬山の内なる地元の人びとが頑張る結果として、自ずと外の人の目にも魅力があり訪れてみたくなる犬山になるのではないかと考えます。 先頃、NHKで、刀剣界最高の賞である正宗賞を受賞した刀匠河内國平氏の刀づくりが紹介されておリましたが、その中で同氏は、古来、名刀の美しさというものは美しくしようとした結果ではなく、刀として"使いやすくしたら美しくなった"ということを言っておられました。柳田國男の言う美しい村づくりに一脈相通ずるものがあり、興味深く傾聴したものでした。

 まちづくりは、一朝一夕には成し遂げられない課題であります。柳田國男は、くだんの随筆の末尾で、美しい村づくりは自分一代の間に完成しないからといって悲しむことはない。ただ大事なのは、成し遂げようとする念願を起こすことである、と述べております。これを激励の言葉と受け止め、「美しい村」犬山づくりにまい進して参りたいと思っております。

今年は"犬山・ファースト"で行こう

2017年01月 1日

  新年あけましておめでとうございます。

 旧年中は、犬山商工会議所の事業活動に対し、格別のご理解、ご協力をいただき厚く御礼を申し上げます。

 年初に当り、昨今の内外の事象をながめつつ、考えていることの一端を述べさせていただきます。

 デフレからの回復は依然道半ばながら、我が国経済は、公共投資等政府の経済対策等に支えられて緩やかに持ち直し、年を越しております。この間、イギリスのEU離脱など、諸外国の政治的出来事による影響も少なからずありました。とりわけ、アメリカ大統領選挙による影響は広範囲に及んでおり目が離せない状況にあります。

 ご案内のとおり、全世界の耳目を集めたアメリカ大統領選挙は、大方の下馬評を覆してトランプ候補が勝利し、同氏は、今月20日、第45代大統領に就任するという結果になりました。このトランプ現象が示唆する大きな問題点の一つに、経済グローバリズムに対抗してナショナリズムの流れが台頭してきたことがあげられております。「アメリカ・ファースト(米国第1主義)」の主張を掲げるトランプ大統領の誕生は、グローバル化の象徴であるTPPの先行きに暗雲を立ち込めさせ、対日経済政策等のシビア化を懸念させるなど、今年以降の我が国経済にとっての不安定要因となっております。私としては、グローバル化が如何に進展しようとも、現実の経済を動かす原動力は経済ナショナリズムであり一概にこれを悪いとは言えないが、世界経済の変化を無視した近視眼的なナショナリズム政策は、国民の長期的利益をもたらすことは無いと考えております。この視点から、今後、トランプ政権下の経済政策を注意深く見ていくことが必要であると考えております。

   さて、昨年の1月、私は、経済グローバル化の下で苦境にある地域の状況を踏まえ、地域経済づくりを標ぼうした「地方創生」へのチャレンジを表明しました。本年は、これに加え、伝統的な文化の維持・継承を通じた地域づくりを目指したいと考えております。地域に継承されている文化に意義や喜び、住民のつながりを見出し、これを核に地域のアイデンティティを強固にし、グローバル化の潮流の中で、地域の生活を維持、発展させていくことが必要だと思うからであります。折しも、昨年11月、犬山祭りが、「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。正に、絶好のチャンスであります。犬山祭りを始め、犬山の文化・伝統を再認識し、"犬山・ファースト"の意気込みをもって、グローバル化の波を乗り切って参りたいと考えております。

  本年も、皆様のご理解、ご協力を切にお願いする次第であります。

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