会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


えびす様頼み

2017年11月 1日

去る9月28日に衆議院が解散され、本稿を執筆している10月中旬現在、各政党各候補者間において熾烈な選挙戦が繰り広げられております。今回の解散については、北朝鮮の核・ミサイル開発など地政学的リスクの増大、働き方改革の推進など内外の重要な政治課題が山積するこの時期、政治の空白を招くような事態は許されないとの批判も多々なされております。この点につきましては、個別具体的な事柄について論じる力はありませんが、全衆議院議員が一時的に不在であっても、来年度予算の編成や税制の改革など重要な事柄に関する作業は休むことなく続けられており、空白を生じることはないと考えております。こうした国家運営の日常・実際面を担っているのは、官僚であります。我が国の官僚は、優秀であり、国家運営面で大きな支障が生ずることはまずあり得ないと言えます。

 こうした中、9月25日発表された「月例経済報告」において、景気は引き続き緩やかな回復基調で推移しているとの判断が示されました。この判断を受け、アベノミクスによる景気拡大が戦後2番目に長い「いざなぎ景気」(57か月)を超えるに至り、次の焦点は、戦後最も長い「いざなみ景気」の記録(73か月)を超えるかどうかであるといった報道が散見されます。しかし、今回の景気拡大には実感が伴っていないとの指摘が少なからずあることも事実であります。これを裏付けるかのように、直近における各種中小企業景気調査を見ると、確かに、業況悪化との判断する者は減少しているものの、全体としては、景気は停滞していると感じる者が7割を占める一方、回復を実感している者は2割に満たないといった実態がうかがい知れます。私ども企業人といたしましては、このようにまだまだ困難を脱し切れていない地域中小企業にあって、一日たりとも経済の空白は引き起こさないという気概をもって、事業運営に取り組んで行かなければならないと考えております。

さて、折しも、神無月の時節、八百万の神々がこぞって出雲へと出かける中にあって、恵比寿の神は、「留守神」として出雲に行かず、神々の空白となる在地の人民・家業を守る役を果たすといわれております。加えて、恵比寿は、「いざなぎ」の神と「いざなみ」の神を両親として誕生した神であるとの説もこれあり、"商売繁盛"への根拠の無い期待も生まれて参ります。

 いずれにせよ、このメッセージが皆様の目に触れる頃には、総選挙の帰趨も決しており、新しい政権の下で、我が国経済の実態に即した諸対策が講じられ、全ての国民、企業が実感できる景気の拡大が実現するよう念願する次第であります。

JFKからのメッセージ

2017年10月 1日

 直近8月の「月例経済報告」によれば、個人消費の持ち直し、企業収益の改善などを背景に、景気は、回復基調が続いており、先行きについても、雇用・所得環境の改善が続く状況の下、緩やか回復していくことが期待されております。こうした中、ミサイル発射や核実験の実施といった北朝鮮の動向が我が国経済や市場に及ぼす悪影響を懸念する声も聞こえてきます。また、一方では、北朝鮮の脅威の増大が、軍需産業の業績を伸ばすとの期待から、その株価が上昇しているとの報道もみられます。

 さて、ご案内のとおり、世界は、朝鮮半島情勢を震源とする不測の事態の出来(しゅったい)に危機感を募らせております。北朝鮮の核・ミサイルの開発を巡り、米・朝関係は緊迫の度合いを高めており、両国が武力で衝突し、最悪の場合核兵器の使用へとエスカレートすることへの危惧が真剣味を帯びて語られております。

 ここで私の世代が想起する出来事は、55年前、米・ソの冷戦構造下で起きた"キューバ危機"ではないかと思います。ソ連がキューバにミサイルを配備、これを許しがたい脅威と見た米大統領J.F.ケネディは、海上封鎖を断行、両国は、一触即発の状態から核戦争の瀬戸際まで行く事態となりました。この時は、ケネディとソ連首相のフルシチョフとの交渉の結果、ミサイルの配備は断念され、核戦争は回避されました。

 キューバ危機の翌年、ケネディ大統領は、ワシントンの大学で、『平和への戦略』と題し、冷戦下の当時におけるだけの平和ではなく、「あらゆる時代における平和」であるという意味での「真の平和」について演説をしました。

 彼は、この演説で、核の時代には究極的に人類が壊滅する全面戦争は無意味であり、であればこそ、「相手国に屈辱的な退却か核戦争かの二者択一を強いるような対決は避けなければならない」と主張します。「我々を結び付ける最も根本的な絆は、小さな地球上で共に生きているという事実である」。だからこそ、「関係者全員の利益にかなう具体的な行動と有効な合意による平和づくりに力を注ごうではないか」と説き、重ねて、「歴史は、国同士の対立も永遠には続かないことを教えてくれているので、たゆまず努力を続けよう」と人々を鼓舞します。そして、「我々は、全滅への戦略ではなく、平和への戦略に向かって努力を続けるのだ」とそのスピーチを締めくくります。ケネディは、この演説から半年を待たずして凶弾に倒れましたが、この演説で示された彼の世界平和に対する情熱と信念には、今、強く私どもの心に訴え掛けてくるものがあります。

 私どもは、核戦争は絶対に起こしてはならないものであることを肝に銘じ、いつの日かケネディのメッセージを実現できるように、国境を越えて知恵を出し合い、行動していかなければならないと思う次第であります。

賑わいのターニングポイント

2017年09月 1日

今、犬山の城下町は、大変多くの人で賑わっております。今回は、この城下町を中心としたまちづくりの片りんに触れてみたいと思います。

 思い起こせば、昭和63年6月、犬山駅東にイトーヨーカドーが開店し、その商業施設には城下町地区の多くの商店がテナントとして出店をしました。この折、当時の大店舗法による大型ショッピングセンターへの出店に伴う現店閉鎖措置として、それぞれが路面店を閉めたため、城下町は、シャッター通りとなり、その賑わいを無くしていきました。

 このヨーカドーの出店を一つの契機に城下町の保存に向けた運動が高まりをみせ、平成17年3月、都市計画路線として城下町の本町通りの道路を拡張する計画が廃止されたことは、こうした動きを象徴する出来事として記憶されております。この都市計画道路の見直しは、本町通りの道幅、家並みをそのまま現在に遺すことになり、今更ながら一つの英断だったと思っております。その後、平成21年3月に電線、電柱の地中化、道路の美装化が完成し、城下町は、江戸時代の風景にタイムスリップしました。その時が、城下町の賑わいのターニングポイントであったと考えております。

 こうしたインフラの整備と並行して、城下町地区では、賑わいを創出するための施設整備が進められました。平成12年から14年にかけては、「どんでん館」、「しみんてい」、「余遊亭」がまちづくりの拠点施設として開設されました。同15年には、本町と新町の角に「なつかし屋」が開店し、17年には、「旧礒部邸」が整備され、一般に開放されました。また、18年7月には、「愛知北FM放送」が開局し、まちの放送局として犬山の情報発信拠点の役割を担うこととなりました。また、24年4月には、中本町に飲食店等17の店舗を擁する「昭和横丁」がオープンし、城下町地区におけるグルメ施設不足の解消に一役買いました。加えて、犬山まちづくり株式会社が推進する「空き家空き店舗事業」により、12の店舗が開店し、現在に至っております。

 賑わいは、ハード施設面における整備のみでは十分とは言えません。ウォルト・ディズニーは、「ディズニーランドを造っただけでは集客はできない」、「そこには、常に多彩なイベントを考案しなければ、リピーターはない」と言いました。犬山城下町において、6月の日南焼酎まつり、9月のビールまつり、12月のドイツワインまつり、1月のどぶろくまつり、というように間断のないイベントを企画・実施している所以であります。

 ご案内のとおり、ヨーカドーは、29年間の営業に幕を下ろし本年2月をもって閉店し、4月、そのあとを受け、ヨシヅヤが開店をいたしました。今この時を更なるターニングポイントとし、一層の賑わいを呼び込むべく知恵を絞って行かなければならないと考える次第であります。

法人税がバロメーター

2017年08月 1日

本年度も、はや第1四半期が過ぎました。日本経済を見ますと、株価の上昇などを受け個人の消費マインドは改善しており、輸出もこのところ陰りがみられるものの、IT関連の世界的需要に支えられて今後堅調に推移すると見込まれ、景気は、先行きも緩やかに回復基調をたどるものと思われます。

一方、直近の日商LOBO調査の結果は、中小企業においては経営マインドが依然として弱く、その多くが業績改善を実感できていない状況にあることを示しております。

こうした中、先日、愛知県の昨年度の法人事業税及び法人県民税が前年度に比べ10%の増収見込みとなった旨の報道がありました。ご案内のとおり、法人税収入は、景気の動向を跡づける意味をもつ指標の一つであり、これが増えることは、その期の企業業績が好調であったことを示しております。円安を背景とした輸出企業の好業績を反映した今般の愛知県の税収増は、自動車を中心とした輸出企業の動向に大きく左右されるその税収構造によるものであり、一概に県内企業全体の好調さを表しているものではないと考えております。

 さて、ここで、法人税収入を意図的に減らすことによる経済効果に思いが至ります。アベノミクスの経済活性化策の一環として平成27年度から着手された法人税改革により、現在、法人税率は、23.4%、国・地方の法人実効税率は、29.97%に引き下げられました。法人税率の引き下げについては、賛否両論あるところですが、喧伝されているように、企業競争力の強化、産業の空洞化の防止、設備投資の活発化、賃金の上昇など労働者への投資拡大、海外企業の対日投資の拡大といったメリットが期待でき、中長期的観点からは、日本経済の成長にとってプラスになるものと理解しております。

 現時点における約30%の我が国の法人実効税率は、先進7か国(G7)の中ではちょうど真ん中で、米、仏、独に次ぐ高さとなっております。法人税率は、企業の国際競争力を決定する要因の1つともなるため、ここ数年の間、各国間において引き下げ競争(「税の競争」)が生起しております。とりわけ、米国は、トランプ大統領が選挙公約である法人税改革に力を入れており、連邦法人税率を35%から15%へと大幅に引き下げる案を公表したところであります。米国の改革案には、我が国企業への影響が大きい法人税の国境調整の導入は盛り込まれていませんが、引き続きその動向には注視していく必要があると思います。

 いずれにいたしましても、我が国の法人税減税については、課税ベースの拡大など代替税源を確保しつつ、魅力的な事業環境づくりの起爆剤となることが期待されるところであります。

共に努力する仲間を募る

2017年07月 1日

毎年この時期に犬山商工会議所が実施しております「会員増強キャンペーン」をご存知でしょうか。

地域商工業者の大宗を占める小規模事業者に対する支援の大切さが叫ばれる中、その中心的な役割を担うべき当商工会議所ですが、廃業、脱会による会員数減少への対応が恒常的な課題となっております。また、直近28年度予算を例に引けば、当初見込んだ財政調整資金の取り崩しこそ免れたものの次期への繰越金は大きく縮小するなど、会議所財政の逼迫感が強まっております。「会員増強キャンペーン」は、当会議所を取り巻くこうした厳しい環境を背景に、会員を増やすことにより、会議所組織を維持・拡大・活性化し、人材面、財政面における運営基盤を強化することを目的に、市内を5つのブロックに分け、ブロックごとに編成されたチームが、新規会員の開拓や各種共済等への加入勧誘を推進するものであり、会頭の私を筆頭に、会議所組織を挙げて取り組む重要な活動の一つであります。

 フランスの実業家・政治家であったジャン・モネは、こう述べております。 「何事も個人無しには始まらない。しかし、組織無しには継続しない」と。何であれコトを為すには組織化(制度化)が重要であることを指摘するこの言葉は、そのまま、商工会議所の在り方にも通ずるように思われます。その時その人における考え・行動も、これを組織として取り組むことにより、人から人へと空間的・時間的に確実に引き継がれ、永続的で確固たるものになるということであります。「欧州統合の父」と呼ばれ、自らが構想した欧州連合の実現に奔走し、苦労を重ねた彼ならではの経験から発せられた非常に説得力のある言葉であります。ちなみに、ユーロ危機、域内格差の拡大、移民・難民の増加等多くの難題を抱え、ついには英国が離脱を決定するなど、崩壊の危機にあるとすらささやかれる現在のEUの姿を見るにつけ、「欧州は危機を通じて形成され、危機に対する解決策の積み重ねとして構築されていく」と言い切る彼の信念には、感服する外はありません。   

 ジャン・モネは、その回想録で、共通の目的を立て、共通の努力をする仕組みとしての組織の重要性について、言葉を変え繰り返し語っております。犬山商工会議所におきましても、キャンペーンが成果を上げ、その結果として会議所組織が強化されることを通じ、モネの考えの妥当性を実証できればと思う次第であります。

 ともあれ、会員の皆様には、共に努力する新しい仲間の発見にご協力をお願いする次第であります。

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