会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


賑わいのターニングポイント

2017年09月 1日

今、犬山の城下町は、大変多くの人で賑わっております。今回は、この城下町を中心としたまちづくりの片りんに触れてみたいと思います。

 思い起こせば、昭和63年6月、犬山駅東にイトーヨーカドーが開店し、その商業施設には城下町地区の多くの商店がテナントとして出店をしました。この折、当時の大店舗法による大型ショッピングセンターへの出店に伴う現店閉鎖措置として、それぞれが路面店を閉めたため、城下町は、シャッター通りとなり、その賑わいを無くしていきました。

 このヨーカドーの出店を一つの契機に城下町の保存に向けた運動が高まりをみせ、平成17年3月、都市計画路線として城下町の本町通りの道路を拡張する計画が廃止されたことは、こうした動きを象徴する出来事として記憶されております。この都市計画道路の見直しは、本町通りの道幅、家並みをそのまま現在に遺すことになり、今更ながら一つの英断だったと思っております。その後、平成21年3月に電線、電柱の地中化、道路の美装化が完成し、城下町は、江戸時代の風景にタイムスリップしました。その時が、城下町の賑わいのターニングポイントであったと考えております。

 こうしたインフラの整備と並行して、城下町地区では、賑わいを創出するための施設整備が進められました。平成12年から14年にかけては、「どんでん館」、「しみんてい」、「余遊亭」がまちづくりの拠点施設として開設されました。同15年には、本町と新町の角に「なつかし屋」が開店し、17年には、「旧礒部邸」が整備され、一般に開放されました。また、18年7月には、「愛知北FM放送」が開局し、まちの放送局として犬山の情報発信拠点の役割を担うこととなりました。また、24年4月には、中本町に飲食店等17の店舗を擁する「昭和横丁」がオープンし、城下町地区におけるグルメ施設不足の解消に一役買いました。加えて、犬山まちづくり株式会社が推進する「空き家空き店舗事業」により、12の店舗が開店し、現在に至っております。

 賑わいは、ハード施設面における整備のみでは十分とは言えません。ウォルト・ディズニーは、「ディズニーランドを造っただけでは集客はできない」、「そこには、常に多彩なイベントを考案しなければ、リピーターはない」と言いました。犬山城下町において、6月の日南焼酎まつり、9月のビールまつり、12月のドイツワインまつり、1月のどぶろくまつり、というように間断のないイベントを企画・実施している所以であります。

 ご案内のとおり、ヨーカドーは、29年間の営業に幕を下ろし本年2月をもって閉店し、4月、そのあとを受け、ヨシヅヤが開店をいたしました。今この時を更なるターニングポイントとし、一層の賑わいを呼び込むべく知恵を絞って行かなければならないと考える次第であります。

法人税がバロメーター

2017年08月 1日

本年度も、はや第1四半期が過ぎました。日本経済を見ますと、株価の上昇などを受け個人の消費マインドは改善しており、輸出もこのところ陰りがみられるものの、IT関連の世界的需要に支えられて今後堅調に推移すると見込まれ、景気は、先行きも緩やかに回復基調をたどるものと思われます。

一方、直近の日商LOBO調査の結果は、中小企業においては経営マインドが依然として弱く、その多くが業績改善を実感できていない状況にあることを示しております。

こうした中、先日、愛知県の昨年度の法人事業税及び法人県民税が前年度に比べ10%の増収見込みとなった旨の報道がありました。ご案内のとおり、法人税収入は、景気の動向を跡づける意味をもつ指標の一つであり、これが増えることは、その期の企業業績が好調であったことを示しております。円安を背景とした輸出企業の好業績を反映した今般の愛知県の税収増は、自動車を中心とした輸出企業の動向に大きく左右されるその税収構造によるものであり、一概に県内企業全体の好調さを表しているものではないと考えております。

 さて、ここで、法人税収入を意図的に減らすことによる経済効果に思いが至ります。アベノミクスの経済活性化策の一環として平成27年度から着手された法人税改革により、現在、法人税率は、23.4%、国・地方の法人実効税率は、29.97%に引き下げられました。法人税率の引き下げについては、賛否両論あるところですが、喧伝されているように、企業競争力の強化、産業の空洞化の防止、設備投資の活発化、賃金の上昇など労働者への投資拡大、海外企業の対日投資の拡大といったメリットが期待でき、中長期的観点からは、日本経済の成長にとってプラスになるものと理解しております。

 現時点における約30%の我が国の法人実効税率は、先進7か国(G7)の中ではちょうど真ん中で、米、仏、独に次ぐ高さとなっております。法人税率は、企業の国際競争力を決定する要因の1つともなるため、ここ数年の間、各国間において引き下げ競争(「税の競争」)が生起しております。とりわけ、米国は、トランプ大統領が選挙公約である法人税改革に力を入れており、連邦法人税率を35%から15%へと大幅に引き下げる案を公表したところであります。米国の改革案には、我が国企業への影響が大きい法人税の国境調整の導入は盛り込まれていませんが、引き続きその動向には注視していく必要があると思います。

 いずれにいたしましても、我が国の法人税減税については、課税ベースの拡大など代替税源を確保しつつ、魅力的な事業環境づくりの起爆剤となることが期待されるところであります。

共に努力する仲間を募る

2017年07月 1日

毎年この時期に犬山商工会議所が実施しております「会員増強キャンペーン」をご存知でしょうか。

地域商工業者の大宗を占める小規模事業者に対する支援の大切さが叫ばれる中、その中心的な役割を担うべき当商工会議所ですが、廃業、脱会による会員数減少への対応が恒常的な課題となっております。また、直近28年度予算を例に引けば、当初見込んだ財政調整資金の取り崩しこそ免れたものの次期への繰越金は大きく縮小するなど、会議所財政の逼迫感が強まっております。「会員増強キャンペーン」は、当会議所を取り巻くこうした厳しい環境を背景に、会員を増やすことにより、会議所組織を維持・拡大・活性化し、人材面、財政面における運営基盤を強化することを目的に、市内を5つのブロックに分け、ブロックごとに編成されたチームが、新規会員の開拓や各種共済等への加入勧誘を推進するものであり、会頭の私を筆頭に、会議所組織を挙げて取り組む重要な活動の一つであります。

 フランスの実業家・政治家であったジャン・モネは、こう述べております。 「何事も個人無しには始まらない。しかし、組織無しには継続しない」と。何であれコトを為すには組織化(制度化)が重要であることを指摘するこの言葉は、そのまま、商工会議所の在り方にも通ずるように思われます。その時その人における考え・行動も、これを組織として取り組むことにより、人から人へと空間的・時間的に確実に引き継がれ、永続的で確固たるものになるということであります。「欧州統合の父」と呼ばれ、自らが構想した欧州連合の実現に奔走し、苦労を重ねた彼ならではの経験から発せられた非常に説得力のある言葉であります。ちなみに、ユーロ危機、域内格差の拡大、移民・難民の増加等多くの難題を抱え、ついには英国が離脱を決定するなど、崩壊の危機にあるとすらささやかれる現在のEUの姿を見るにつけ、「欧州は危機を通じて形成され、危機に対する解決策の積み重ねとして構築されていく」と言い切る彼の信念には、感服する外はありません。   

 ジャン・モネは、その回想録で、共通の目的を立て、共通の努力をする仕組みとしての組織の重要性について、言葉を変え繰り返し語っております。犬山商工会議所におきましても、キャンペーンが成果を上げ、その結果として会議所組織が強化されることを通じ、モネの考えの妥当性を実証できればと思う次第であります。

 ともあれ、会員の皆様には、共に努力する新しい仲間の発見にご協力をお願いする次第であります。

良識の花を咲かそう

2017年06月 1日

昨今は、国際版の"選挙の季節"真っ直中の感があります。近くは、衆目を集めたフランスと韓国の大統領選挙で、既に帰趨も決し、その具体的な政策展開が注目されるところですし、この1年間でも、フィリピンのドゥテルテ大統領の誕生、英国のEU離脱決定、米国のトランプ大統領の登場など記憶に新しい選挙が目白押しにありました。今後も、ドイツ、イタリア等で総選挙が予定されております。ご案内のとおり、このところの選挙におきましては、国民大衆の生の心情で国政の重要方針が極端な場合180度転換する事態が散見されます。その最たるものが過度の自国優先主義であり、その政策としての保護主義的貿易や移民排斥等の実施であります。

こうした政治の動きの背景として喧伝されるのがポピュリズムの台頭であります。「投票は銃弾よりも強い」というリンカーンの言葉がありますが、国民大衆の声に支えられた政治は、時に強力なものとなります。しかし、かつての軍国日本やナチス・ドイツを例に引くまでもなく、イソップ寓話の「蛙の王様」(※)で蛙たちを見舞った運命に陥ることは絶対に避けなければなりません。ここで、思い出されるのが、松下幸之助の「民主主義の国家として一番大事なものはやはりその民主主義を支えてゆくにふさわしい良識が国民に養われていることでしょう。国民の良識の高まりという裏付けがあってはじめて、民主主義は花を咲かせるのです。」という言葉であります。幸之助翁は、折に触れ、政治活動、経済活動における良識の重要性を説いておりますが、この良識、一朝一夕に身に付くものでもありません。良識の意味は、広辞苑的に言えば、偏りのない適切で健全な考え方と簡単に表されますが、これをどのように養っていくかはなかなか難しく、われわれ一人一人が取り組むべき一生涯の課題ではないかと思っております。

少々教訓的で重い話になりましたが、今回のメッセージは、商工会議所会頭として、国際的な視野に立って国の安全・安心を保つためにはどうしたら良いかを考え、世界の政治情勢に思いを馳せざるを得ない"季節"のなせるわざと、ご理解いただければと存じます。

 

※ 「蛙の王様」の寓話

池に棲む蛙たちが王を欲しいとゼウスに願い出た。ゼウスは、"丸太"を王として池に投げ入れた。動かない王に不満な蛙たちは、王の取り換えを要求した。そこで、ゼウスは、"水蛇"を池に投げ入れた。今度の王は、蛙たちを残らず食べてしまった。

「観光立市」? 犬山

2017年05月 1日

ユネスコ無形文化遺産となって初めて開催された犬山祭は、天候にも恵まれ多くの人出でにぎわい、盛況のうちに終了しました。犬山とその文化伝統に対する人々の関心の高まりの表れであり、市民として、また国民として子子孫孫にわたって引き継いで行かなければならないとの使命感を新たにしております。

犬山は観光資源が持つポテンシャルを活かして地方創生を実現する余地が極めて大きいことは、繰り返し述べているところであります。今回は、『新・観光立国論』を著したデービッド・アトキンソン氏による我が国の観光産業振興についての提言を踏まえて、"観光立市"犬山を考えてみました。

同氏の提言は、インバウンド観光に焦点を当てたものですが、犬山の観光を論ずる際にも一つの視点を与えてくれるものと評価しております。彼は、観光立国に必要な条件として「天候」、「自然」、「文化」、「食事」の4つを掲げ、日本はこの条件を全て備えているがそのポテンシャルが発揮されていないがために観光で立国できずにいると指摘するとともに、いわゆる「おもてなし」については、観光の動機にはならない(わざわざ高い金を払って「おもてなし」を体験しに来訪はしない)と斬って捨てます。その上で、観光立国を実現するためのポイントとして、観光客が何を求めて来訪するのかその声を真摯に聞き、そのニーズに応じて観光資源を提供することの必要性と、観光収入(稼ぎ)を意識することの重要性を説いています。

 さて、アトキンソンの観光立国論に即して犬山の観光ポテンシャルを見てみますと、天候面では特段の問題は無く、自然及び文化面での優位性は非常に高いものの、食事面では観光客にアピールする点が弱いといえます。犬山を観光で立つ市とするためには、ポテンシャルの強化とその有効活用が必要であり、この場合、観光客は出身国(地)、年齢、裕福度等によって求めるものが異なるという前提に立って提供する観光資源の内容、対価等を決定するといった、観光客の視線に沿った対応を工夫することが重要です。また、観光を稼ぐ産業と位置付け、景観・名勝や文化財の観光産業的利・活用に強く踏み込むことも必要ではないかと考えております。とりわけ、犬山では、魅力のある「食」の提供が十分ではなく、この面での観光資源開発が急務と言えます。こうした中、近時、インスタグラムを介し、"恋小町だんご"、"いちごソフト"に引き寄せられた若者の来訪が激増しております。集客の具体的事例の一つとして、今後の取り組みに対する示唆をくみ取ることができます。

 観光とは、「光」、すなわちその地の優れた風景、文物などを観ることがその語源(「易経」)と言われますが、観光地サイドからは、正に、地域の個性を発揮しそれ見せること、すなわちその「光」を誇り示すこととなります。と考えますと、犬山を光り輝かせる上において、観光が特別の意味を持つように思われてきます。

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