会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


"人の利"を活かそう

2019年03月 1日

 本年1月1日現在の我が国の総人口は、1億2632万人であり、ピーク時の10年前(2008年の1億2808人)から176万人減少しておりますが、例えれば、熊本県1県分の人口が消えた勘定になります。内閣府は、10年後(2029年)には1億2000万人を下回り、35年後(2053年)には1億人を割り込むものと推定しております。この様に人口の減少が進む中、我が国経済の衰退に対する警鐘音は、益々大きなものになっております。もとより、犬山市もこの警鐘の対象であることは言うまでもありません。

 こうした中、先頃開催された新春講演会において、2027年のリニア中央新幹線開業がもたらす様々なインパクトについての話しを拝聴しました。講師である家田仁氏の講演の概要は、本所報において紹介されておりますのでご一読いただければ幸いですが、本講演を機に、リニア開業を見据えて私なりに思うところの一端を述べさせていただきます。

 リニア中央新幹線の開業には、品川と名古屋を40分で結ぶなど、東・名・阪間の移動時間を激的に短縮することを背景に、東京のグローバル都市機能、名古屋の優れたものづくり機能、大阪の独自の文化、商業機能を活かしつつ三大都市圏をネットワーク化し、これまでに類を見ない巨大な社会、経済圏(「スーパー・メガリージョン」)の形成を促すことが期待されております。この圏域内においては、整備された在来新幹線、高速道路網等と相まって、大都市と地方間の時間的距離も大幅に縮まり、ビジネス、観光、居住等を目的とした人の移動、交流が増加・活発化することが予想されるところであります。名古屋圏の一端に位置する犬山が、このスーパー・メガリージョンに組み込まれることは当然としても、リニアによる時間短縮メリットを受ける地方・地域が増加することを考えれば、他地域との交流人口獲得競争は、これまで以上に激しくなることが予想されます。既にいくつかの市町では、リニア開業を踏まえたまちづくりの検討が始められております。犬山にあっても、山田市長が「リニア時代のまちづくり」の構想を表明されており、その具体的な取り組みは、今後に期待するところであります。いずれにせよ、リニアで創出される交流人口の増大効果を享受するためには、来て良し、住んでも良しと思える犬山独自の魅力を継続的に向上させる取り組みが求められることになろうかと思っております。 

 『孟子』に「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」という一節があります。犬山に人を呼ぶ込むことは、リニア開業という好機があり、観光資源等に恵まれた有利な土地であっても、この地の人々の"おもてなしの心"がなければ叶わない、という風にこの言葉を読み替えて、物事達成における"人の利"の大切さに思いを致すところであります。

利休に倣う

2019年02月 1日

 我が国への外国人旅行者数が、昨年、3000万人の大台に乗り、1つの節目を迎えました。こうした中、国は、東京オリンピックが開催される2020年にインバウンド旅行者数を4000万人にすることなどを目標とする「観光ビジョン」の実現に向けた取り組みに力を入れております。この一環として現在実施中のアクション・プログラムは、○文化財を中核とする観光拠点の整備、○景観まちづくり等景観に優れた観光資産の保全・活用、○商店街等における観光需要の獲得、○ナイトタイムの活用など新たな観光資源の活用、○古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進、○多様なニーズに合わせた宿泊施設の提供、○欧米豪を中心とするグローバル・キャンペーンの推進など、多岐にわたっており、犬山においては既に着手しているものもあれば、今後の課題となっている取り組みも少なくありません。

 観光地として人を引き付ける要素は、景観、文化財・歴史遺産、観光インフラ施設、グルメなど多々ありますが、これらにも増して来訪者への心のこもった対応やサービスを提供することが重要であります。とりわけ、文化、習慣の異なる見知らぬ人と人とが接することとなるインバウンド観光において、この接客姿勢が極めて大切であることは申し上げるまでもありません。インバウンドの個人旅行化、体験型観光化、地方への展開といった流れの中、犬山においても、来訪者に対する「おもてなし」の姿勢を鮮明にすることが、今、強く求められていると考えております。

 我が国において「おもてなし」の基礎を創ったと言われるのは千利休ですが、その精神は、『利休7則』として現代に伝わっております。人をもてなす心構えについては、この7則に沿っていろいろ説かれております。これらを踏まえて、私なりにこう解釈しております。①「茶は服のよきように点て」・・・相手の気持ちを考え心を込めて、②「炭は湯の沸くように置き」・・・もてなしの手順を的確に、③「花は野にあるように」・・・もてなしは自然でくどくならないように、④「夏は涼しく冬暖かに」・・・もてなす方法を工夫して、⑤「刻限は早めに」・・・もてなしはゆとりを持って、⑥「降らずとも雨の用意」・・・相手の期待を先取りして、⑦「相客に心せよ」・・・相手を立てて。

 利休十哲の一人である織田有楽斎ゆかりの「如庵」という国宝茶室三名席の一つを、京都以外において唯一有する地としての犬山であればこそ、茶の湯の神髄とも言える、人をもてなすの心の大切さを自覚したいものであります。

 今、犬山は、犬山城登閣者数60万人という過去最多記録を更新するなど、来訪者が急増しております。この機に、『利休7則』に倣って犬山の「おもてなし」力に磨きをかけ、近い将来、当地を"愛知の犬山"、"日本の犬山"として国内のみならず世界において名実ともに認知させることが私の宿願であります。

猪を見る先に矢を引こう

2019年01月 1日

 新年明けましておめでとうございます。

 旧年中、会員を始めとした皆様には、当会議所の事業活動に対し一方ならぬご支援、ご協力をいただき、誠にありがとうございました。 

 ご案内のとおり、本年は、目を離せない時事がいくつかあります。年頭に当たり、主な事柄に触れつつ、新しい年への期待と心構えの一端を述べさせていただきます。

 先ずは、1月、「緩やかな景気回復」が続く我が国経済は、「いざなみ景気」の期間を超え、戦後最長記録を更新する公算が大となりました。しかし、米国の保護貿易政策や中国経済の減速といった景気後退リスクに加え、とりわけ中小企業において、経営上の不安要素として「人材の不足」が第1位となるなど、先行き予断は許されない状況が続くものと考えております。

 こうした中、4月には外国人労働者の雇用拡大を目的とする「改正出入国管理法」が施行されます。本法の制定に際しては、深刻な人手不足を背景に、侃侃諤諤の国会論議がなされたことは記憶に新しいところであります。今後、施行に伴う地域経済社会への影響について注意深く見守っていく必要はありますが、外国人労働者を、ただ単に人手不足を解消する労働力として利用するのではなく、これからの我が国企業、産業の成長を支える人財として活用するという観点は、忘れてはならないと考えております。

 5月、「新天皇の即位」と「改元」が行われます。これに先立ち4月に新元号が事前に公表され、天皇陛下が譲位されます。天皇の譲位と即位が同時に行われるのは、江戸後期の光格天皇以来約200年ぶりとのことでもあり、祝賀ムードの高揚が期待されるところであります。

 7月には「参議院選挙」が実施されます。とりわけ、今回は、124議席を巡る攻防の結果が憲法改正の議論にも影響することが想定され、その動向に大きな関心が寄せられるところであります。

 10月、懸案の「消費税の引き上げ」が実施されます。駆け込み需要への期待などはあるものの、足腰の弱い我が国経済への悪影響が懸念されるところであり、景気落ち込み防止対策の着実な実施が望まれる所以であります。

 この1年、いろいろな事が生起しましょうが、諸事万端、"猪見て矢を引く"(注)の弊に陥ることのないよう、用意周到な心構えでいたいものであります。

 さて、昨年は、地震、台風、豪雨などの「自然災害」が、日本各地において、日常生活や経済・社会活動に大きなダメージをもたらしました。本年は、「亥」年にちなみ、あまねく「息災」であることを祈念する次第であります。

 本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

(注)"猪見て矢を引く":「事が起ってからあわてて対策を講ずる。」といった意で引用される諺。出典は不詳。

袖ふり合う縁を活かす

2018年12月 1日

 我が国経済は、堅調な企業業績、雇用・所得環境の改善に支えられて緩やかな回復が続いております。GDPも年度ベースで1%程度の成長が見込まれており、「実感なき景気回復」と言われて久しいものの、このままで推移すれば、来年1月には"いざなみ景気"を超えて戦後最長の景気拡大期間を記録することになります。とは申せ、中間選挙を終えた米国トランプ政権の貿易政策に大きな変化は期待できず、今後、我が国経済が厳しい局面を迎える懸念は、払拭されておりません。

 こうした中、11月14日、世界人口の約50%、GDP及び世界貿易の約30%を占める広域経済圏の構築を目指す、東アジア地域包括的経済連携(RCEP(アールセップ))首脳会議がシンガポールにおいて開催されました。5年越しの交渉の末、年内妥結への期待が高まっておりましたが、「2019年に妥結する決意である」旨の共同首脳声明を発表するに留まり、交渉の決着は、来年に持ち越されました。米国がTPPから離脱した今こそ、一国主義、保護貿易主義を標ぼうする米国に対し、各国が連携して自由貿易を維持、推進して行こうという強いメッセージを示す意味もあり、その早期発効が強く望まれるところであります。

 さて、先頃、恒例となっております、石垣市商工会との友好親善を深めるため、石垣市を訪問して参りました。当会議所と石垣市商工会との交流は、昭和56年、名鉄が石垣市に「八重山民俗園」というテーマパークを開園したことを機に、同年、両者間で姉妹提携を結んだことに端を発します。以来、相互理解と産業・文化交流の促進によりそれぞれの地域経済の発展等を図るべく活動を続け現在に至っております。今では、こうした経緯を知る人も少なくなってきておりますが、今日、当然のごとく行われている、犬山と石垣間の様々な面での交流・連携は、日本最南端・最西端にできたテーマパークを縁に、連綿と発展させてきたものであります。"小才は、縁に出会って縁に気付かず。中才は、縁に気付いて縁を活かさず。大才は、袖すり合うた縁をも活かす。"という柳生宗矩の言葉は、どんな些細な関わり合いでも、それを"縁"として活用する能力の大切さを示唆するものとして有名ですが、けだし、当会議所(当時は、商工会)の諸先達は、その一例を示されたものと改めて賞賛の念を禁じ得ません。

 国家間の活動から企業、個人の活動まで、あらゆる局面において、小さなご縁(チャンス)を見逃さず、これを最大限に活かすことができるように心がけて行きたいものであります。

"全員野球"でガンバロー

2018年11月 1日

 10月2日、第4次安倍内閣が発足し、安倍首相は、これを「全員野球内閣」と称したことは、ご案内のとおりであります。もとより"全員野球"は、高校野球の用語のようですが、比喩的に、関係者全員が一致団結して事に当ることを表して使われる言葉であります。高齢化等により足腰の衰えが目立つ我が国チームに対し、海外の強豪チームから政治的・経済的な変化球が次から次へと飛来する中、安倍監督及びコーチ陣には、チームメートの体力増強に努め、的確にボールを打ち返すことができるような采配振りを期待するところであります。これに先立つ10月1日、免疫療法の研究でノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった本庶教授は、あなたのお蔭で重い病気から元気になったと感謝されるのが何よりもうれしい、と話しておられます。安倍内閣には、あなたのお蔭で日本は強く元気になりましたと私たちが言うことができるように頑張ってもらいたいと思っております。

 また、同じ10月1日には、「犬山市産業振興基本条例」が施行されました。本条例は、これからの犬山市の産業の振興、実質的には中小・小規模事業の発展についての基本的な在り方を宣言、規定したものであります。本条例において、当会議所は、犬山市の産業振興を進めるため、地域資源の利・活用、産業人材の育成・確保、事業承継と後継者の確保、創業や新産業分野への進出といった面で事業者を支援することが規定されております。併せて、事業者に対しては、商工会議所事業への積極的な参画とその活用を求める旨が規定されております。また、条例の前文に、産業の振興には地域経済に携わる者全員が連携、協働して取り組むことが必要であることがうたわれており、当会議所に掛けられる期待と責務がより重いものになっていることを役・職員一同改めて噛み締め、全員野球の精神をもって、与えられた役割を果たして行く所存でおります。

 こうした中、当会議所は、諸般の事業の推進に努めておりますが、その一環として、ビジネス実務で要求される人材の育成に向けて、簿記、そろ盤を始めとした検定事業を実施しております。今般、この検定事業の推進面における功績が認められ、去る9月20日、第128回日本商工会議所会員総会の開催に際し、私が、同じく表彰される18の商工会議所を代表して三村日本商工会議所会頭から表彰状を授与される栄に浴しました。幾分なりとも地域事業者の皆様のお役にたてれば幸いであるとの思いを強くした次第であります。

 当会議所といたしましては、支援する事業者からお蔭様で元気になったと感謝されるような存在になること目指して、切磋琢磨して参る所存でおりますので、皆様方のご支援、ご協力をお願いする次第であります。

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