会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


法人税がバロメーター

2017年08月 1日

本年度も、はや第1四半期が過ぎました。日本経済を見ますと、株価の上昇などを受け個人の消費マインドは改善しており、輸出もこのところ陰りがみられるものの、IT関連の世界的需要に支えられて今後堅調に推移すると見込まれ、景気は、先行きも緩やかに回復基調をたどるものと思われます。

一方、直近の日商LOBO調査の結果は、中小企業においては経営マインドが依然として弱く、その多くが業績改善を実感できていない状況にあることを示しております。

こうした中、先日、愛知県の昨年度の法人事業税及び法人県民税が前年度に比べ10%の増収見込みとなった旨の報道がありました。ご案内のとおり、法人税収入は、景気の動向を跡づける意味をもつ指標の一つであり、これが増えることは、その期の企業業績が好調であったことを示しております。円安を背景とした輸出企業の好業績を反映した今般の愛知県の税収増は、自動車を中心とした輸出企業の動向に大きく左右されるその税収構造によるものであり、一概に県内企業全体の好調さを表しているものではないと考えております。

 さて、ここで、法人税収入を意図的に減らすことによる経済効果に思いが至ります。アベノミクスの経済活性化策の一環として平成27年度から着手された法人税改革により、現在、法人税率は、23.4%、国・地方の法人実効税率は、29.97%に引き下げられました。法人税率の引き下げについては、賛否両論あるところですが、喧伝されているように、企業競争力の強化、産業の空洞化の防止、設備投資の活発化、賃金の上昇など労働者への投資拡大、海外企業の対日投資の拡大といったメリットが期待でき、中長期的観点からは、日本経済の成長にとってプラスになるものと理解しております。

 現時点における約30%の我が国の法人実効税率は、先進7か国(G7)の中ではちょうど真ん中で、米、仏、独に次ぐ高さとなっております。法人税率は、企業の国際競争力を決定する要因の1つともなるため、ここ数年の間、各国間において引き下げ競争(「税の競争」)が生起しております。とりわけ、米国は、トランプ大統領が選挙公約である法人税改革に力を入れており、連邦法人税率を35%から15%へと大幅に引き下げる案を公表したところであります。米国の改革案には、我が国企業への影響が大きい法人税の国境調整の導入は盛り込まれていませんが、引き続きその動向には注視していく必要があると思います。

 いずれにいたしましても、我が国の法人税減税については、課税ベースの拡大など代替税源を確保しつつ、魅力的な事業環境づくりの起爆剤となることが期待されるところであります。

共に努力する仲間を募る

2017年07月 1日

毎年この時期に犬山商工会議所が実施しております「会員増強キャンペーン」をご存知でしょうか。

地域商工業者の大宗を占める小規模事業者に対する支援の大切さが叫ばれる中、その中心的な役割を担うべき当商工会議所ですが、廃業、脱会による会員数減少への対応が恒常的な課題となっております。また、直近28年度予算を例に引けば、当初見込んだ財政調整資金の取り崩しこそ免れたものの次期への繰越金は大きく縮小するなど、会議所財政の逼迫感が強まっております。「会員増強キャンペーン」は、当会議所を取り巻くこうした厳しい環境を背景に、会員を増やすことにより、会議所組織を維持・拡大・活性化し、人材面、財政面における運営基盤を強化することを目的に、市内を5つのブロックに分け、ブロックごとに編成されたチームが、新規会員の開拓や各種共済等への加入勧誘を推進するものであり、会頭の私を筆頭に、会議所組織を挙げて取り組む重要な活動の一つであります。

 フランスの実業家・政治家であったジャン・モネは、こう述べております。 「何事も個人無しには始まらない。しかし、組織無しには継続しない」と。何であれコトを為すには組織化(制度化)が重要であることを指摘するこの言葉は、そのまま、商工会議所の在り方にも通ずるように思われます。その時その人における考え・行動も、これを組織として取り組むことにより、人から人へと空間的・時間的に確実に引き継がれ、永続的で確固たるものになるということであります。「欧州統合の父」と呼ばれ、自らが構想した欧州連合の実現に奔走し、苦労を重ねた彼ならではの経験から発せられた非常に説得力のある言葉であります。ちなみに、ユーロ危機、域内格差の拡大、移民・難民の増加等多くの難題を抱え、ついには英国が離脱を決定するなど、崩壊の危機にあるとすらささやかれる現在のEUの姿を見るにつけ、「欧州は危機を通じて形成され、危機に対する解決策の積み重ねとして構築されていく」と言い切る彼の信念には、感服する外はありません。   

 ジャン・モネは、その回想録で、共通の目的を立て、共通の努力をする仕組みとしての組織の重要性について、言葉を変え繰り返し語っております。犬山商工会議所におきましても、キャンペーンが成果を上げ、その結果として会議所組織が強化されることを通じ、モネの考えの妥当性を実証できればと思う次第であります。

 ともあれ、会員の皆様には、共に努力する新しい仲間の発見にご協力をお願いする次第であります。

良識の花を咲かそう

2017年06月 1日

昨今は、国際版の"選挙の季節"真っ直中の感があります。近くは、衆目を集めたフランスと韓国の大統領選挙で、既に帰趨も決し、その具体的な政策展開が注目されるところですし、この1年間でも、フィリピンのドゥテルテ大統領の誕生、英国のEU離脱決定、米国のトランプ大統領の登場など記憶に新しい選挙が目白押しにありました。今後も、ドイツ、イタリア等で総選挙が予定されております。ご案内のとおり、このところの選挙におきましては、国民大衆の生の心情で国政の重要方針が極端な場合180度転換する事態が散見されます。その最たるものが過度の自国優先主義であり、その政策としての保護主義的貿易や移民排斥等の実施であります。

こうした政治の動きの背景として喧伝されるのがポピュリズムの台頭であります。「投票は銃弾よりも強い」というリンカーンの言葉がありますが、国民大衆の声に支えられた政治は、時に強力なものとなります。しかし、かつての軍国日本やナチス・ドイツを例に引くまでもなく、イソップ寓話の「蛙の王様」(※)で蛙たちを見舞った運命に陥ることは絶対に避けなければなりません。ここで、思い出されるのが、松下幸之助の「民主主義の国家として一番大事なものはやはりその民主主義を支えてゆくにふさわしい良識が国民に養われていることでしょう。国民の良識の高まりという裏付けがあってはじめて、民主主義は花を咲かせるのです。」という言葉であります。幸之助翁は、折に触れ、政治活動、経済活動における良識の重要性を説いておりますが、この良識、一朝一夕に身に付くものでもありません。良識の意味は、広辞苑的に言えば、偏りのない適切で健全な考え方と簡単に表されますが、これをどのように養っていくかはなかなか難しく、われわれ一人一人が取り組むべき一生涯の課題ではないかと思っております。

少々教訓的で重い話になりましたが、今回のメッセージは、商工会議所会頭として、国際的な視野に立って国の安全・安心を保つためにはどうしたら良いかを考え、世界の政治情勢に思いを馳せざるを得ない"季節"のなせるわざと、ご理解いただければと存じます。

 

※ 「蛙の王様」の寓話

池に棲む蛙たちが王を欲しいとゼウスに願い出た。ゼウスは、"丸太"を王として池に投げ入れた。動かない王に不満な蛙たちは、王の取り換えを要求した。そこで、ゼウスは、"水蛇"を池に投げ入れた。今度の王は、蛙たちを残らず食べてしまった。

「観光立市」? 犬山

2017年05月 1日

ユネスコ無形文化遺産となって初めて開催された犬山祭は、天候にも恵まれ多くの人出でにぎわい、盛況のうちに終了しました。犬山とその文化伝統に対する人々の関心の高まりの表れであり、市民として、また国民として子子孫孫にわたって引き継いで行かなければならないとの使命感を新たにしております。

犬山は観光資源が持つポテンシャルを活かして地方創生を実現する余地が極めて大きいことは、繰り返し述べているところであります。今回は、『新・観光立国論』を著したデービッド・アトキンソン氏による我が国の観光産業振興についての提言を踏まえて、"観光立市"犬山を考えてみました。

同氏の提言は、インバウンド観光に焦点を当てたものですが、犬山の観光を論ずる際にも一つの視点を与えてくれるものと評価しております。彼は、観光立国に必要な条件として「天候」、「自然」、「文化」、「食事」の4つを掲げ、日本はこの条件を全て備えているがそのポテンシャルが発揮されていないがために観光で立国できずにいると指摘するとともに、いわゆる「おもてなし」については、観光の動機にはならない(わざわざ高い金を払って「おもてなし」を体験しに来訪はしない)と斬って捨てます。その上で、観光立国を実現するためのポイントとして、観光客が何を求めて来訪するのかその声を真摯に聞き、そのニーズに応じて観光資源を提供することの必要性と、観光収入(稼ぎ)を意識することの重要性を説いています。

 さて、アトキンソンの観光立国論に即して犬山の観光ポテンシャルを見てみますと、天候面では特段の問題は無く、自然及び文化面での優位性は非常に高いものの、食事面では観光客にアピールする点が弱いといえます。犬山を観光で立つ市とするためには、ポテンシャルの強化とその有効活用が必要であり、この場合、観光客は出身国(地)、年齢、裕福度等によって求めるものが異なるという前提に立って提供する観光資源の内容、対価等を決定するといった、観光客の視線に沿った対応を工夫することが重要です。また、観光を稼ぐ産業と位置付け、景観・名勝や文化財の観光産業的利・活用に強く踏み込むことも必要ではないかと考えております。とりわけ、犬山では、魅力のある「食」の提供が十分ではなく、この面での観光資源開発が急務と言えます。こうした中、近時、インスタグラムを介し、"恋小町だんご"、"いちごソフト"に引き寄せられた若者の来訪が激増しております。集客の具体的事例の一つとして、今後の取り組みに対する示唆をくみ取ることができます。

 観光とは、「光」、すなわちその地の優れた風景、文物などを観ることがその語源(「易経」)と言われますが、観光地サイドからは、正に、地域の個性を発揮しそれ見せること、すなわちその「光」を誇り示すこととなります。と考えますと、犬山を光り輝かせる上において、観光が特別の意味を持つように思われてきます。

頑張る企業でスタート

2017年04月 1日

第838回犬山祭を皮切りに、平成29年度がスタートします。犬山商工会議所におきましても、新年度事業計画に基づき諸事業を実施する運びといたしております。 

さて、この事業計画につきまして、本年度は、新しい試みを実施いたしました。それは、事業を企画・展開する心構えとして、スローガンを掲げたということであります。事業に対する皆様のご理解の一助に資することを期して、それらを紹介させていただきます。

まず、会議所の事業理念と位置付けられるスローガンとして、「がんばる企業を応援します!」を掲げます。これは、自らの向上のため自主的な努力をする中小事業者を支援するという意であり、かつての社会政策的な保護、指導とは一線を画した姿勢を示すものであります。

この理念の下に、事業方針とも言える5つのサブ・スローガンを掲げます。1つ目は、「進取し、先駆ける商工会議所」であります。地域が抱える課題やニーズを先取りし、それらに果敢に挑戦する姿勢を持とうというものであります。この活動の一環として、国、県、市等に対し、様々な要望、政策提言を行って参ります。2つ目は、「身近でコンパクトな商工会議所」を掲げました。無駄を省いた小さな組織ながら、最新の支援情報・ネットワークを有し、どんな相談にも応じられ、身近で頼りになる商工業者の"かかりつけ医"としての当会議所の在りようを示すもので、このスローガンの下、組織力、財務基盤の強化とこれによる会員サービスの充実を図って参ることとしております。3つ目は、「連携を図り活力ある地域創造を目指そう」であります。このスローガンでは、当地域また犬山商工会議所に不足するものを他の地域、他の商工会議所などとの連携、交流で補い、犬山の活力を養おうという姿勢を標ぼうしております。これまでも、内外の多様な団体との連携、交流事業を実施しておりますが、事前に具体的な成果を計って仕組んだ連携はうまく行かないと思っております。経験的には、"連携と交流で思いもよらぬ花が咲く"という連携の妙味を実感する次第であります。4つ目は、「犬山の経営を全力応援、明日の犬山を創る」であります。現下、商工会議所の重要使命と位置付けられる、地域経済の要である小規模事業者の経営発達を図るための支援活動を念頭に置いたものであります。 最後のスローガンは、「観・農・商工連携」で犬山創生」であります。観光振興は、農・商工業など幅広い地域産業の活性化に直結することから、相互にメリットを得るため、連携と地域の一体的取り組みが必要であり、商工会議所がその中核を担うとの姿勢を示したものであります。その一つとして、観光資源面でのミッシングリンクの解消とそのネットワーク化の試みとして、栗栖地区のつり橋構想の実現を目指して参ります。

以上、平成29年度の事業を紹介いたしました。もとより、実施に困難が伴うものも有りますが、「皮切りの一灸」のことわざもあり、頑張って参る所存でおります。

皆様方のご理解、ご支援をお願いする次第であります。

※「皮切りの(ひと)()」:何事も最初は苦しいがその後は楽になる、という意味の諺。

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