会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


ふりかえれば未来

2015年08月 1日

日本と中国、韓国の間には、歴史認識を巡る対立があり、その一環として提起される領土問題等の解決がはなはだ困難なものとなっております。

 振り返って、1012年9月9日、ロシアのウラジオストックで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)において、野田首相が尖閣諸島を国有化する意向を胡錦濤国家主席に伝えたところ、同主席は、烈火のごとく怒り、猛反発、中国全土に激しい反日デモが広がった出来事は忘れることができません。

 歴史とは何でしょうか。過去に起こった「本当の事実」を記録したものというのが普通の答えではないかと思います。では、だれが「事実」であると認定するのでしょうか。英国の歴史学者E.H.カーは、「歴史とは現在と過去との対話である。」と述べております。彼によれば、「事実」とは、歴史家がその目を通して見たある過去の出来事を歴史的に重要だと評価したもの、ということになります。要するに、歴史的「事実」は一つではないということであり、だれの目から見ても、また、いつの時代においても同じという意味での「本当の事実」はないということです。現在の目を通して過去を見ざるを得ない以上、時代とともに歴史的「事実」は変化するものとも言えます。また、カーは、歴史とは、「過去の出来事と未来の目的との対話」であるとし、過去についての解釈評価は、現代の課題に沿って変化していくものであるとも述べております。すなわち、歴史は、現在の問題を解決し、未来に進むためにあるということです。

 ここで、西洋史学者であった木村尚三郎の「ふりかえれば未来」という言葉が浮かびます。過去を振り返って見つめ、そこから学ぶことにより、未来の在るべき姿が見えてくるという趣旨のこの言葉は、歴史のとらえ方において、カーのそれと一脈通じるところがあるように思われます。

こうした見方によれば、歴史認識(過去の評価解釈)は、現在の解決すべき課題、将来の進むべき方向によって変化していくものということになります。ここに歴史認識を巡る対立を解消していく上における一条の活路を見いだせるのではないかと考えるのは、私だけでしょうか。

 日、中、韓は、いずれも、より良い未来の方向を目指し、過去に向き合う必要があります。この際、歴史認識、歴史観の相対性を自覚し、極端に走らない中庸の精神が大切であると考える次第です。

 

今こそ、観光により交流人口を増やそう

2015年07月 1日

 このところ、円安・株高で、市場は大賑わいの感がありますが、6月8日内閣府から発表された、本年1-3月期の我が国GDPは、前期比1.0%増、年率換算で3.9%と大幅なプラス成長となり、消費税引き上げ以降における景気低迷からの回復を裏付けたものとなりました。一方、同じく8日に公表された、「景気ウオッチャー調査」によれば、株高資産効果や外国人観光客増加により商品等の売上げが伸びている反面、円安による原材料価格等の上昇から利益が減少しているなど、街角における円安・株高の影響は様々であるように見受けられます。

 さて、本年も、6月1日、「木曽川うかい」が開幕いたしました。夏場における犬山の観光資源の一つとして、集客力を発揮してほしいと思っております。 とりわけ、円安環境下、外国人観光客の増加には大いに期待が掛かるところであります。「爆買い」と表現されるインバウンド観光の経済効果が大きな注目を集めている今こそ、外国人に対し、「うかい」に限らず犬山独自の歴史、文化、自然の魅力を訴えて当地への来訪を促進し、地域の創生を図っていく絶好の機会であると考えております。

地方創生の切り札は、農・商工連携と観光振興であり、「農・商工・観連携」が重要であるということは本誌5月号でも触れたところであります。観光は、「人に始まり、人に終わる。」と言われております。この意味で、観光資源は、人と人との交流をもたらす拠点とも言うことができます。現在、犬山にある観光資源は、元から観光資源として作られたものではありません。これは、「うかい」が1300年前に漁業の一つとして始まったということからも理解できるところであります。このことは、観光は、観光産業に携わる一部の人のみが担えば良いというものではないことを示唆しております。「観光立市」犬山であるためには、これからは、既存の観光資源を磨くとともに、農業者が、商工業者が、あるいは両者が連携し、それぞれの得意とする分野において、持てる資源を活用して人と人との交流を活発化する取り組みを通じ、新たな観光交流資源(拠点)を作りだすことが必要であると考えております。

 現在、全国各地におきまして、地方創生のため人口減少問題の克服や成長力の確保に向けた「ビジョン」及び「総合戦略」作りが活発化しております。出産、育児支援等により'自然増'を、また、生活環境、就業環境等の整備により'社会増'を図るなど、人口減少に歯止めを掛ける取り組みの重要性は言うまでもありません。こうした中、農・商工・観が連携して観光交流資源を開発・発掘し、来訪者を増やすことにより、人口の'交流増'を図って行くことは、当地犬山であればこその資源を有効に活用する地方創生策であると確信する次第であります。

軍需産業に依存せず平和産業立国を!

2015年06月 1日

 昨年9月多くの犠牲者を出した御嶽山の噴火がまだ記憶に新しい中、4月下旬以降、今度は箱根山の火山活動が活発化しており、人々の不安感を高めております。一般に人は、不安を感じると自己を防衛する心理が働き、その結果の一つとして、財布のヒモを引き締める行動をとる傾向があると言われております。これを我が国の経済状況に敷衍して、巨大地震などの自然環境面での不安、雇用・賃金・年金といった経済面での将来への不安、戦争・紛争やテロといった国防・治安面における安全への脅威など、個人的、社会的な不安心理は、消費意欲を委縮させ、その結果として経済を冷え込ませ「消費不況」を引き起こしているという行動経済学的な説明も納得がいくものと思われます。
 さて、5月15日、かねてから侃侃諤諤の議論が交わされている安全保障関連法案が衆議院に提出されました。今後、国会において審議が尽くされ、妥当な結論に達することが期待されます。本法案が提出された背景としては、東アジアを中心としたパワーバランスの変化や国際テロの脅威の増大といった、近時における我が国を取り巻く安全保障環境の大きな変化が指摘されていることは、ご案内のとおりであります。
 一方、安保法制の整備は、こうした国防上の必要性に加え、防衛産業の振興を通じて経済産業を活性化して行こうという意図があることも無視できません。本来、技術というものは、戦闘機用のレーダー技術が自動車の衝突防止やETCシステムに活用される例、反対に、ビデオカメラ技術がミサイルに利用される例などに見られるように、軍民両用性を有するものであります。技術の持つこの性質に鑑みると、我が国の技術水準の向上と国内産業の活性化を図って行く視点から防衛技術開発を推進することの意味もあながち否定できないとも思われます。
 しかし、今日の我が国の世界に冠たる技術立国としての地位は、軍需産業抜きにして獲得したものであります。「機密」という制約がつきまとう軍需用技術には競争原理が働きにくく、産業発展の要であるイノベーションが阻害され、経済合理性からはデメリットが大きいとの指摘もなされております。
 こうした点を考え合わせると、民生用ニーズを前提に、自由な競争と開放的な研究により生み出されるイノベーションを活発化し、経済の成長を図っていくことが王道ではないかと考える次第であります。
 戦後70年の節目を迎える本年、こうした方向で安全で豊かな国を創生していくことは将来世代に対する私たちの責務であると、改めてその重さに感じ入っております。

「農・商工・観連携」で犬山創生! 

2015年05月 1日

 3月19日、日本商工会議所第121回通常会員総会に出席をいたしました。
 ここで、その内容の一端についてご紹介させていただきます。
総会の冒頭、日商の三村会頭からは、「新たな日本再出発の礎を築く」と題したその挨拶の中で、今こそ日本の再出発に向けて本格的な成長戦略の出番であり、我が国の潜在成長力を引き上げるため、資本の蓄積、労働力の確保、生産性の向上対策などサプライサイド政策の展開が必要である。このため、企業には、これまでの貯蓄主体から本来の投資主体としての行動が期待されており、とりわけ、地域経済の中核的役割を担う中小・小規模事業者が事業を力強く推進できることが大変重要であるとの発言がありました。最後に、三村会頭は、我が国が直面している「人口急減と超高齢化の加速化」と「地方疲弊の深刻化」といった構造的課題に対し、商工会議所が一丸となってその克服に取り組み、地方創生をけん引すべきであり、その切り札として観光の推進、農商工連携の一層の加速化が不可欠であるとの認識を示されました。
 また、来賓として臨席された安倍総理大臣からは、三本の矢が奏功し景気は改善しているものの、苦境にある小規模事業者も少なくなく、コスト転嫁対策、下請け対策等を精力的に実施する旨の表明がありました。さらに、総理は、経済の好循環に向けて賃上げの浸透の必要性を強く訴えるとともに、地方の創意・工夫を発揮した地方創生について、商工会議所が果たす役割に大いに期待していることに言及されました。
総会記念講演では、元総務大臣、日本創成会議座長の増田寛也氏が「地方や民間主導による地方創生に向けて」のテーマで、人口減少、「地方消滅」といった危機的状況の下、若者に魅力ある労働環境の創出、地方大学の活用による健康的、自立的居住環境の形成などの必要性と商工会議所への期待について、その思いを語られました。
 さて、犬山は、年間入場者数が50万人を突破した犬山城やユネスコ無形文化遺産登録候補である犬山祭車山行事を始めとする様々な観光資源があり、近時、注目される機会が増えております。犬山商工会議所におきましては、従来から提唱しております農商工連携の推進に、観光の振興を加えた、「農・商工・観連携」を新たに標榜し、犬山における地方創生に取り組んで参る所存でおります。なお、先月本誌で触れました、'地方創生版'プレミアム商品券事業は、市当局のご高配を得て、プレミアム率20%で総額2億9千4百万円分の商品券を7月上旬に発行する運びとなりました。
 本年度は、犬山創生に向け、やれることは何でもやるの気概をもって、諸般の事業を実行いたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

今こそ、プレミアム商品券

2015年04月 1日

我が国の景気が持ち直しつつあるようであります。
3月9日に公表された10-12月期のGDPは、年率換算で1.5%増となり、3四半期ぶりにプラス成長となりました。円安により輸出が増加基調に転じるとともに消費税引き上げによる需要の反動減も一巡する中、生産にも回復の動きが出ております。また、昨今の原油価格の下落は、エネルギー価格の低下などを通じて、企業業績の改善や家計の実質所得の押し上げに寄与することが期待できます。こうした景気動向を反映し、株価は上昇しており、2月中旬には1万8千円を超え、リーマン・ショック前の水準を回復し、今や2万円に迫ろうかという状況になっております。
こうした中、中小企業に限って見れば、「都市部での回復が全体を押し上げる形になっており、地方の中小企業にあっては、コスト増加分の価格転嫁の遅れや個人消費の鈍さが業況改善の足かせ」(商工会議所2月LOBO調査結果)となるなど、厳しい状況が続いております。犬山商工会議所といたしましては、当地域中小企業の持続的発展を目指し、中小企業個々の課題を踏まえて伴走的な支援を展開することとしております。
折しも、地方創生の一環として、国は、地方における消費喚起等の対策用に2500億円の交付金を平成26年度補正予算に盛り込み(2月3日成立)、当該交付金を各自治体に配分することを決定しました。
この交付金の活用方法としては、プレミアム付き商品券事業が推奨されており、犬山市においても、27年度、「地域消費喚起・生活支援型交付金事業」としてプレミアム商品券の発行を当商工会議所に委託実施する計画であります。
今回の商品券事業は、地域の実情に配慮しつつ、「景気の脆弱な部分にスピード感をもって的を絞った対応」が求められており、政策効果がより高いものとすることが重要であります。現時点においては、プレミアム率は、事業の趣旨及び近隣自治体の動向等を踏まえると20%が妥当であり、事業規模は、3億円近くになるものと考えております。
いずれにしましても、商品券事業の成否は、先ずは消費者にとって如何に魅力のあるものとするかにかかっているため、今後、犬山市当局を始め関係の方々との調整を重ね、事業設計を進めることとしております。
本商品券事業が、これをテコに当地域の消費を喚起、誘発し、中小商工業の景気回復を実感できるものとし、地方創生の第一歩となることを期待し、出来うる限り早期に事業を実施するよう努めて参りますので、ご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 

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