会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


「隠れたチャンピオン」の輩出を!

2015年12月 1日

 毎年10月、11月は他地域との交流事業が集中する時期であります。今年も当商工会議所を中心に参加者を募り、日南市、石垣市、韓国ハマン郡、中国襄陽市の各地を訪問し、親密な交流を重ねて参りました。とりわけ、韓国、中国については、歴史問題、領土問題を背景とした政治・外交面での我が国との軋轢が続く中、民間・経済ベースにおける友好関係の維持・増進に向けた意欲を確認し合えたことは有意義であったと思っております。折しも、11月1日、日中韓サミットが3年半ぶりにソウルで開催され、両国との関係改善も一歩一歩前に進んでいる感があります。同サミットでは、経済貿易分野における協力の一層の強化、高度化を図るとともに、日中韓FTA等の交渉加速化に向けて更なる努力を行っていく旨の合意がなされました。今後、3国間で紛争を避け、平和を指向する流れが奔流となり、相互の経済や商工業の成長・発展が推し進められて行くことを念願する次第であります。

 さて、経済のグローバル化の進展を背景に、上述の日中韓FTAやTPPといった自由貿易協定(経済連携協定(EPA))交渉が活発化しており、我が国企業を取り巻く経済環境は大きく変化することが予想されます。中小企業の海外展開の促進は、地方創生の柱の1つに位置付けられており、地方の中小企業にとってもアジアなどの海外市場に販路を求める精力的な努力が求められることになります。この意味において、2000年以降、中小企業の積極的な海外展開を通じ、EU内で「独り勝ち」の優等生となったドイツに学ぶべき点は多々あると思われます。一般に、ドイツの中小企業の強さは顧客ニーズへの徹底した対応による高付加価値化と海外の優秀な人材の活用を重視した経営戦略にありますが、また、こうした中小企業の海外展開において政府や関係機関・団体の支援事業が大きな役割を果たしてきたことも看過できないと言われております。ちなみに、ドイツ商工会議所のアンケートによれば、ドイツの企業が海外展開する際の相談先として「国内の商工会議所」を挙げる者が43%あり、海外への展開面で地元の商工会議所の存在は大きなものとなっているようであります。

 こうした中、犬山商工会議所といたしましては、現在、原産地証明書の発給業務を通じ、貿易取引の円滑な進展をサポートしておりますが、今後、日本商工会議所を始めとした関係機関・団体とのネット―ワークを強化し、FTA/EPAの利用促進に向けた取り組みを行うとともに海外販路の開拓、専門家の派遣等の諸事業を実施し、当地域の中小企業の海外展開を支援して参りたいと考えております。

こうした取り組みの中から、将来、当地域にも「隠れたチャンピオン企業」と呼ばれる優良企業が生まれることを大いに期待する次第であります。

ノーベル賞とTPPで活路を!

2015年11月 1日

10月5日、2つの朗報が飛び込んできました。1つは、2015年ノーベル生理学・医学賞の受賞者に北里大学の大村氏が選ばれたというものです。また、これには、翌6日、物理学賞が東京大学の梶田氏に授与されるとの報が重なることになりました。今年も昨年の物理学賞3名に続き2名の複数受賞となり、2000年以降における自然科学分野での受賞者総数を米国に次いで2番目に多い21名と伸ばし、この分野における我が国の基礎研究能力の高さを改めて実証する結果となりました。

ここで、近時において我が国が受賞した研究成果について、あえてキーワードを挙げるとすれば、「地方」と「中小企業」ではないかと思っております。前者は、受賞者の学び舎が神戸大(山中氏)、徳島大(中村氏)、山梨大(梶田氏)、埼玉大(大村氏)といった地方大学であり、地方の実力の一端を象徴していることがその根拠です。後者については、「青色LED」の中村氏に代表されるように、受賞者は、大学の研究者を除けば小さな企業の出身であり、また、「IPS細胞」の実用化において中小企業が先陣を切って活躍している旨が伝えられるなど、中小企業の研究能力によるところが大きいという事実がその理由です。こうした状況は、地方の中小企業者にとっては大いに心強く思われます。

もう1つの朗報は、TPP(環太平洋経済連携協定)が5年(日本参加後2年)に及ぶ交渉の結果、大筋合意に達したというものです。この先、参加12か国の署名及び批准を経て協定が発効すれば、モノ、サービス、投資などの分野において世界最大規模の自由貿易圏が誕生することになります。商工会議所としては、基本的には、「中小企業にも大きなビジネスチャンスを与えるもの」と歓迎しております。もっとも、TPPのメリットを地方の中小企業にとって実効性あるものにするためには、支援措置が必要不可欠であることは申すまでもありません。

こうした中、今回の協定には、中小企業がTPPの恩恵を受けられるように

これをサポートするための取り決めが、この種の協定では初めて、条文化されることになった点は大いに評価できます。これを受け、政府からは「中小企業のための対応本部を設置し、支援策を全国に分かりやすく発信したい」旨の表明がありましたが、より広範かつ強力なサポート体制の構築が期待されるところです。

今後、犬山商工会議所は、日本商工会議所等と連携し、TPPの普及とその利用の促進に向けた取り組みを積極的に進めて参る所存でおります。

 この2つの朗報は、現在、地方創生に向け官民を挙げた取り組みが進められている中、地方の中小企業が進むべき一つの方向を示す出来事ではないかと考える次第であります。

「民の知見」を活用しよう

2015年10月 1日

 先頃、2020年東京オリンピックの公式エンブレムの白紙撤回問題が発生しました。以来、本問題については、様々な人からいろいろな意見が出され、現在までその尾を引いております。本エンブレム問題について、誤解を恐れずにあえて私見を述べれば、今回のオンリンピックが求めるコンセプトを表わす上で優れたものならば良しとすべきであり、この意味で、優れたデザインだと見ておりました。見た目が既存のものに似ているから良くないものとレッテルを貼り、一律に切り捨てる姿勢は如何なものかと思った次第であります。

 東京オリンピックに関しては、もう1つ、主会場となる新国立競技場の建設計画が白紙撤回された問題があります。こちらの方は、デザイン及び景観破壊の問題、使用目的・用途の問題、費用の問題が浮上し、とりわけ建設費の肥大化が大きな論点となり、計画策定プロセスの不透明さと相まって、白紙化に至ったものと理解しております。もとより、これらの問題は、相互に密接に関連しており、一つだけ取り上げて云々することの愚は言うまでもないことであり、ただ単に高額だからダメといった論には賛同できません。私としては、良いもの、社会的資本・遺産として今後何十年も残るものは、ある程度金が掛かって当然といった気構えが必要であると思っております。

 さて、今般、犬山市では、新体育館が平成28年7月にオープンすることを機に、現体育館を解体する計画が表明されました。本計画の背景としては、周辺環境にそぐわない外観形状、スポーツ施設としての利用目的の終了、維持経費の負担といった、新国立競技場のケースと同じ問題点が挙げられております。

 現体育館がある地区は、イベント等が多く開催されることに加え、近時、犬山城への観光客が増える中、多くの人が集まる場所となっておりますが、物販等の面で中心となりうる施設が少ないことが指摘されております。

 こうした中、当会議所では、これらの問題点をクリアし、現体育館を有効に利・活用する在り方につき検討を重ね、外観面では、犬山城周辺環境に適合し景観を高めるような改修工事を施し、用途面では、商業、催事など地域ニーズに応えられるものとして、これを再利用する方向が建設的ではないかとの結論に至りました。そして、地方創生の一環としてこれを推進するに当たっては、民間の資金・経営ノウハウといった「民の知見」の活用が有用であると考えております。

 こうした経緯を踏まえ、かつ、人口の減少が進み都市インフラの在り方が新築から改修の時代へと変移し、ストック建物の活用が今後大きな課題となることが予想される中、犬山市に対し、現体育館の利・活用を図る観点から、これを民間に譲渡等して欲しい旨を要望することとしております。

 皆様のご理解、ご協力のほどを、よろしくお願いいたします。

「国際交流平和大国」日本

2015年09月 1日

 昭和16年12月8日の真珠湾攻撃を機に太平洋戦争が始まりました。その約2ヶ月前の10月10日に当時の犬山町中本町に私は生まれました。昭和19年の春、父に赤紙の召集令状が届きました。『俺が行かねばこの戦争は終わらない』と言って呉服屋の三代目の父は全ての在庫品を同業の他店に買って頂き、『この金で俺が帰って来るまで食べていろ。』と母に渡して出征をしたと母から聞かされていました。昭和19年の暮れに、父はフィリッピンのマニラ沖で昭和19年9月24日に戦死したと公報が届きました。祖母は必ずどこかで生きていると息子の死を受け入れませんでした。

 昭和21年の秋、同じ船の乗組員の戦友が訪ねて来られ『仏壇にお参りにまいりました。』と父の母に伝えられたが、『息子は死んではいません。仏様のお参りはお断りします。』と戦友を追い帰したことを知ったのは50才の時で母は75才でした。その戦友Sさんは『私は母親の気持ちを察することが出来ず大変失礼なことをしてしまい、その事にお詫びを申し上げに参りました。』と、Sさんは85才になられどうしても自分が死ぬ前に私の父の最後を伝えたかったと言われ訪ねて来られたのでした。それまで何もわかりませんでした。私の母は28才で未亡人となり戦後の食料難を乗り越えてきました。

 私は3才の頃、空腹のあまり碁石や炭をよく食べたと母から聞かされていました。小学校5年生の頃、昼食の弁当を学校へ持って行く事が出来ませんでした。それは我家ではシャビシャビのお粥でしたので弁当箱に詰めることが出来なかったからです。昼休みに家へ昼食に帰るのはN君と二人でした。そして再登校する時のあいさつは『めし食ったか。』でした。二人共『ああ食ったぞ。』と言いながら二人共嘘でした。水道の蛇口から腹いっぱい水を飲んだだけでした。

 終戦ではなく敗戦70年を経過した今、日本はどの様な方向に進路を取るのでしょうか。世界中の軍需費の総額は莫大な数字です。そして地球上のいたる所で紛争や内戦が続いています。その武器や弾薬そして軍需品はアメリカ、ロシア、中国製の物が多くを占めています。又、軍事演習による武器弾薬軍需品の消耗は多額の数字です。経済が軍需産業に頼らなければならない国家に向うのでしょうか。平和産業のみでは国家が成り立たないのでしょうか。農業大国、水産大国、林業大国、工業大国として世界の国々から尊敬される日本になることを強く念願致します。国際交流平和大国として世界中にお役に立てる国家を目指すべきと思います。未来永劫、戦争は決してしない国づくりを着実に実行して行かなければなりません。そして戦争の悲劇を後世に伝えて行くことが大変重要と考えます。

ふりかえれば未来

2015年08月 1日

日本と中国、韓国の間には、歴史認識を巡る対立があり、その一環として提起される領土問題等の解決がはなはだ困難なものとなっております。

 振り返って、1012年9月9日、ロシアのウラジオストックで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)において、野田首相が尖閣諸島を国有化する意向を胡錦濤国家主席に伝えたところ、同主席は、烈火のごとく怒り、猛反発、中国全土に激しい反日デモが広がった出来事は忘れることができません。

 歴史とは何でしょうか。過去に起こった「本当の事実」を記録したものというのが普通の答えではないかと思います。では、だれが「事実」であると認定するのでしょうか。英国の歴史学者E.H.カーは、「歴史とは現在と過去との対話である。」と述べております。彼によれば、「事実」とは、歴史家がその目を通して見たある過去の出来事を歴史的に重要だと評価したもの、ということになります。要するに、歴史的「事実」は一つではないということであり、だれの目から見ても、また、いつの時代においても同じという意味での「本当の事実」はないということです。現在の目を通して過去を見ざるを得ない以上、時代とともに歴史的「事実」は変化するものとも言えます。また、カーは、歴史とは、「過去の出来事と未来の目的との対話」であるとし、過去についての解釈評価は、現代の課題に沿って変化していくものであるとも述べております。すなわち、歴史は、現在の問題を解決し、未来に進むためにあるということです。

 ここで、西洋史学者であった木村尚三郎の「ふりかえれば未来」という言葉が浮かびます。過去を振り返って見つめ、そこから学ぶことにより、未来の在るべき姿が見えてくるという趣旨のこの言葉は、歴史のとらえ方において、カーのそれと一脈通じるところがあるように思われます。

こうした見方によれば、歴史認識(過去の評価解釈)は、現在の解決すべき課題、将来の進むべき方向によって変化していくものということになります。ここに歴史認識を巡る対立を解消していく上における一条の活路を見いだせるのではないかと考えるのは、私だけでしょうか。

 日、中、韓は、いずれも、より良い未来の方向を目指し、過去に向き合う必要があります。この際、歴史認識、歴史観の相対性を自覚し、極端に走らない中庸の精神が大切であると考える次第です。

 

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