会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


コロナ後の喫緊の課題は、適格請求書保存方式(日本型インボイス制度)の導入・対応!!

2020年11月 1日

 日本商工会議所(三村明夫会頭)は、9月29日に、要望書「菅内閣に望む」を取りまとめ、菅義偉内閣総理大臣ならびに梶山弘志経済産業大臣に手交いたしました。それ以降も、関係閣僚・国会議員・政府関係者等にも働きかけています。要望書では、中小企業の事業継続・雇用維持に対する懸命の努力も限界であることから、感染拡大防止と社会経済活動の両立に最優先で取り組むべきであることや、不確実性がますます高まる環境においては、変化に迅速に対応する柔軟性が不可欠であり、リスクに備えることで不確実性を吸収できる「戦略的なゆとり」を組み込んだ国家運営ビジョンの策定が必要であることなどを基本的な考え方として、以下4点を要望しています。

1.感染拡大防止と社会経済活動の両立を支える検査・医療提供体制の整備
2.倒産・廃業防止への支援継続と小規模・中小・中堅企業の付加価値創出
3.地方分散型社会に向けた地方創生の再起動
4.少子化対策や社会保障改革など構造的課題の克服

 日銀短観の結果をみてみますと、大企業・中小企業、製造業・非製造業ともに、若干の改善にとどまり、水準は依然として低い状態にあります。この結果自体は、我々の実感(日商LOBO調査(9月))と合っています。業種別にみますと、「自動車」の業況判断DIは、足元で大きく改善し、先行きも大幅な改善が見込まれています。自動車産業の景況感はまだまだ満足すべき状況ではありませんが、急速に改善傾向にあることは、すそ野の広い業界であることからも期待が持てるのではないかと考えます。

 中小企業にとって最も効果的な経済政策は、感染防止と経済活動を両立させることだと思います。10月から、GO TO キャンペーンに東京が含まれることとなりましたが、ここ1ケ月でみてみますと、地方では既に観光客が増加し、宿泊施設などにも予約が入っているとのことです。GO TO キャンペーンに東京が含まれることで全国的にも相当大きな(プラスの)影響が期待できます。もちろん感染拡大の心配はありますが、観光地の旅館・ホテル等では感染防止対策をしっかり行っていると聞いていますし、我々も油断することなく対策を継続して行いお客様に対応することがコロナとの共存だと感じています。企業経営者に少しでもポジティブなマインドを持ってもらうためにも、感染拡大を防止しながら経済活動を上向かせるというギリギリのところを狙うような施策が望ましいと考えます。

 さて、コロナ後の喫緊の課題として、令和3年の10月から導入される適格請求書保存方式(日本型インボイス制度)への対応があげられます。軽減税率が始まって複数税率が浸透する中、来年までに我々事業者は適格請求書等保存方式の導入に迫られ、そうでない零細もこれに対応する策を講じておかなければなりません。取引から排除される(例えば、料理屋や旅館、ホテルの方々ですと、商談の場として使われなくなるなど)こととならない準備が今すぐにでも必要となります。

当該制度が導入されると、従来の方式から大きく変わる点が2つあります。

 一つは、仕入れ税額控除が受けられる適格請求書等の発行は、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」しか交付できなくなります。もし、適格請求書発行事業者以外の者が適正な記載項目で請求書を発行しても、適格請求書としては認められず、「誤認される恐れがある」として1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることになります。

 また、もう一つは、適格請求書には、必ず明記しなければならない事項があります。適格請求書の記載事項は以下のとおりです。

1.適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率の対象となる場合はその旨)
4.税率ごとに合計した税抜又は税込対価の額及び税率
5.消費税額等
6.書類の交付を受ける者の氏名又は名称

適格請求書発行事業者は、この記載事項が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類を交付しなければなりません。

 インボイス制度導入後、免税事業者との取引は、自社の消費税負担が増える恐れがあり、免税事業者排除に繋がる可能性があるなど、先行き不透明な部分も残っています。しかし、全ての企業がこのインボイス制度によって影響を受けることは間違いありません。今後の動向に留意しつつ、早め早めにインボイス制度への対応準備を行っていきましょう。

長寿企業に学び、コロナ禍を乗り越えよう

2020年10月 1日

 8月29日に安倍首相が突然、辞意を表明されたことは、私にとって驚きの出来事でした。第二次安倍内閣の一番の実績は、経済であったと評価しています。アベノミクスを掲げて、株価の上昇に大きく寄与しました。頼もしいと思いました。また、外交面でも毅然と対応された点も評価に値します。長期政権としての実績は、一言では言い尽くせないほど数多くあげることができます。安倍首相におかれては、できるだけ早くお体を良くしていただくことを御祈念申し上げる次第です。

 さて、昨今は、新型コロナウイルスの感染拡大で景気が冷え込み、コロナ関連の倒産や廃業が増加しています。倒産や廃業を防ぐため、過去にいくつもの難局を乗り越えてきた長寿企業から学べることがあるのではないかと考えます。日本には創業から100年以上を経過した企業の数が、世界の中でも飛びぬけて多く存在しているといわれています。世界の創業100年以上の企業のうち、半数近くが日本の企業が占めるらしいです。日本には、約3万社存在するといわれています。そのほとんどの企業が、いまだに創業家が経営し、経営理念、先代の教えが代々引き継がれています。一方、ビジネスの中身は時代に合わせて変えてイノベーション(革新)を起こしているという特徴があります。また、これらの企業の本社の多くは、地方に置かれています。「月刊石垣」で連載されましたが、これが「長寿企業の秘密」というタイトルの一冊の本としてまとまりました。そこには、長寿の企業は、地域にしっかり根付いており、また、地域に貢献している企業であるとのことでした。新型コロナは、長寿企業が何度も乗り越えてきた危機の一つとも捉えられます。皆様方におかれましては、新型コロナウイルス禍の中、弱気にならず、長寿企業から学び、培ってきた強みを活かしながら、変化に対応するため、しっかりと足元を固めてコロナ禍を乗り越え、今後とも、末永く、事業を継続していただくことを御期待申し上げる次第です。

0か100かの議論ではなく、30か50の議論を

2020年09月 1日

 愛知県下では、7月15日に新型コロナウイルス感染者数が16人となり、21日には50人を超え、29日には100人を超え、7月31日には過去最多の193人に達するなど、極めて厳しい状況が続いています。このような状況を踏まえ、愛知県は、8月2日にエリアを限定して、営業時間の短縮等の休業要請を行いました。

 私としては、これは第二波が到来したというべき状況であると考えます。それも想定より早く、大きなビッグウエーブであると危機感をもってみています。

 ここにきて、再度の休業要請ということですが、私は、このワードから失業というワードが連想され、失業率が上昇すると、自殺が増加するということが知られているというお話を思い出します。バブルが崩壊して、自殺者は2万人台前半で推移しますが、1998年以降は急上昇します。1997年に山一証券が倒産し、日本長期信用銀行が経営破綻するなど、日本が金融危機に陥った1998年には自殺者数が初めて3万人を上回りました。以後日本は経済停滞の時代が続き、自殺者数は毎年3万人以上を記録し、中でも2003年は3万4427人となり、統計を遡れる時代から今に至るまでで最高を記録しました。2008年のリーマンショックの翌年の2009年が増加した最後の年です。

 ある学者がいうには、日本では、完全失業率が1%ポイント上昇すると、男女ともに10万人当たり約25人の自殺者増加につながるということだそうです。失業率の増加が自殺者の増加につながるということです。自殺は多くの損失を生み出すともいわれています。自殺者本人が生き続けた場合に生み出す付加価値の損失をはじめ、自殺者の遺族や遺族以外の個人への負の影響も考えられ、このような自殺者の増加は日本の社会・経済への多大なる損失につながるといわれています。

 今後の日本の失業率を予測したうえで、自殺者数を試算したものをここで御紹介すると、まず失業率の予測としては、経済がいわゆるU字回復で2021年後半から回復すると仮定すると、2020年の失業率は2.7%、2021年の失業率は3.8%と予測するものがあります。当該予測失業率を、ある学者の推計値をあてはめて自殺者数を計算しますと、2020年と2021年の自殺者数がそれぞれ約2万5000人、4万7000人となるとの試算が紹介されています。

 以上のようなことを踏まえ、今現在の世の中の議論をみると、経済をストップするか否か、0か100かという議論が多過ぎるように見受けられます。私としては、経済のストップ→失業率の増加→自殺者の増加→多大なる社会・経済の損失ということが予想される以上、0か100かの議論ではなく、30か50かという議論を行うべきでないかと考えます。その際、いろいろなアイデアを出し合って、コロナ対策を講じつつ、経済を少しでも回すということに尽力すべきものと考えます。この先、当所としては、行政とも連携して、プレミアム付き商品券事業をはじめ、産業祭等様々な事業を展開することとしていますが、経済を回すことを0ではなく、30あるいは50実施するという前提で、コロナ対策は確保しつつ、従来の手法とは異なる手法による事業の実施ついてアイデアを絞り出して、少しでも多く経済を回していく工夫を行っていきたいと考えています。

 先に御紹介したとおり、経済が回らなくなると自殺者が増え、自殺者の増加は多大な社会的・経済的損失を生み出すといわれています。皆様方におかれましても、経済を少しでも回し、減少させることはかなわなくとも、自殺者を増やさないよう、様々なアイデアの企画立案・実施による一定の経済活動水準の確保を目指した私共の取り組みに是非とも御協力いただきますようお願い申し上げる次第です。

 なお、7月31日に犬山地域桃太郎伝説に基づく地域ストーリー策定・検証事業推進委員会を立ち上げ、犬山のコアコンピンタンスである桃太郎、現在では少々錆びついてしまいましたが、これをもう一度拾い直してピカピカに磨いてこの地域の素晴らしい観光資源にすることを目的とした取り組みを始めました。

 当該事業は、ポストコロナ事業ともいうべき事業かもしれませんが、今から検討を始めることにより、当地域の事業者の皆様の一つの希望として、現在のお取り組みに当たってのモチベーションを高めるための一つとしてみていただきたいと願っています。当所といたしましては、確実にアウトプットできるよう関係者の皆様方の御協力の下、進めていきたいと考えていますので、皆様方におかれましては、本事業への御協力を併せてお願いしたいと存じます。

経済活動の水準の引き上げを目指した取り組みに御協力を

2020年08月 1日

 先月の7月1日に常議員会を開催しましたが、丁度、その日に日本銀行が四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(いわゆる、「日銀短観」)の6月調査結果が発表されました。

 大企業・製造業の景況感を示す景況判断指数(DI)はマイナス34と、3月の前回調査から26ポイント悪化し、リーマン・ショック後の2009年6月調査(マイナス48)以来の低水準となりました。悪化は6期連続で、マイナスは2期連続となりました。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた経済活動の停滞が企業心理を直撃したということが主な要因のようです。

 大企業・非製造業はマイナス17と、前回調査から25ポイント悪化しました。マイナスに転じるのは、東日本大震災後の2011年6月調査(マイナス5)以来9年ぶりです。悪化幅は比較可能な1983年以降で最大となりました。新型コロナの影響が直撃した宿泊・飲食サービスは、マイナス91と過去最低を記録しました。

 予想通りの結果となりました。極めて厳しい状況ではありますが、今後は、段階的に経済活動がリスタート・拡大されていく中で、少しずつ前向きな動きも出てくるものと見込まれます。

 前回のリーマン・ショック時との比較では、中国がリーマン・ショック後に4兆元の経済対策を打ち出して世界経済の回復に貢献しましたが、今回はリーマン時の倍の8兆元の経済対策を打ち出しました。しかしながら、前回のリーマン・ショックとは違い、今回は新型コロナウイルスの影響で人や物の移動が制限されていることや、米中摩擦によってグローバルなサプライチェーンの構築が難しくなっているなどの要因から、リーマン・ショック時のような経済効果はあまり期待できないと考えます。

 このような中、私共商工会議所としましては、一所懸命に考え、行政とも連携して、様々な施策を講じているところです。慣例行事の実施についても、日頃とは違う工夫を講じながら実施しようと考えているところです。

 皆様方におかれましても、コロナとの共存を考えた「新たな生活様式」を模索することによる経済活動水準の引き上げを目指した私共の取り組みに是非とも御協力をいただきますようお願い申し上げる次第です。

感染防止と経済活動の両立(バランス)を目指す段階へ

2020年07月 1日

 犬山市が含まれる愛知県エリアは、令和2年5月14日に新型コロナウイルスに係る国の緊急事態宣言の対象区域から解除され後、続いて、愛知県独自の緊急事態宣言及び愛知県緊急事態措置が5月25日に解除されました。国の緊急事態宣言が解除されますと感染観察に入ります。感染観察から感染拡大注意への移行については、知事の権限とされています。

 今後は、医療体制の維持や医療・福祉・高齢者等の保護に取り組み、感染者数を極限まで抑えることが県や市をはじめとする行政や医療・福祉関係者等に求められているものと考えます。

 また、商工業者の皆様におかれましては、経済活動を再開し、感染対策を意識した新たな社会経済モデルへの転換を行うことが求められていると考えます。具体的には、安心して店舗営業を再開し、また、利用者も安心して来店等ができるようなリスク低減策を構築していくことです。また、経済活動を再開した後も、再び感染拡大する状況を念頭に置き、感染拡大を防ぐ手立てを講じることも重要です。

 一方、今回のコロナ禍により、中止や開催延期に追い込まれた様々なイベントにつきましても、緊急事態宣言下では、感染拡大を懸念し国家的な規模での拡大防止に協力する以外に、選択はなく、中止、延期といった判断をとらざるを得ませんでしたが、当該緊急事態宣言が解除された今、イベントの開催の必要性を改めて再検証され、延期後の開催や停止したサービスの再開の判断を中止と延期と並行して検討することが求められているものと考えます。全ての行事は、中止がすべてではないと考えます。

 今は、緊急事態宣言が解除された直後ということも有り、経済活動はいわゆる助走の時期ということが言えます。すなわち、今後、経済活動が再開されるに伴って、消費水準は徐々に戻ると予想されますが、入場規制や座席数の削減といった措置は感染防止策として取らざるを得ず、コロナ危機以前の水準まで回復するには長い時間が掛かると考えられるからです。ワクチンが早期に開発されて、世界に広く供給されるという「V字回復」の前提が揃わない中では、コロナとの共存を考えた「新たな生活様式」を模索せざるを得ず、社会全体が「Withコロナ」の新状態に適応することが活動水準を上げるためのカギになります。商工業者の皆様にとりましては、その適応能力が運命を分けるものとなるだろうと予想されます。

 このたび、緊急事態宣言が解除されることになり、コロナ禍における対策は、経済を完全停止させてでも防疫対策を優先する段階から、感染防止と経済活動の両立(バランス)を目指す段階へ移行したということだと考えられます。ここからはウイルスとの共存を図りながら時間を稼ぐ戦略へとシフトするわけです。

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