会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


産学官民による産業革命!

2019年08月 1日

人類は、過去3度の産業革命を経験しております。

第1次産業革命は、19世紀のイギリスから起こりました。蒸気機関の発明により、製造における作業工程が「人手」から「機械化」になりました。

そして、その流れは、アメリカを中心とした第2次産業革命へと繋がり、軽工業から重工業への転換がなされ、「大量生産」の時代に入りました。

この間、人類は2つの大きな世界大戦を経て、冷戦の到来と終結を経験しました。ベルリンの壁の崩壊、ソビエト連邦の崩壊で冷戦が終結し、これによりコンピューター(通信技術含む)など冷戦時代に軍事部門で使用されていた様々な技術が民間産業へ転換されていきました。

生産ライン等が人間の指示によるコンピューターなどによって自動化され、生産性の向上がなされたのが第3次産業革命とよばれています。

そして今、第4次産業革命という100年に一度といわれるような大きなうねりが巻き起こっています。第3次産業革命では、産学官の連携で推進されていた技術革新等が、産学官に「市民・コミュニティーなど」、いわゆる「民」が加わって、産学官民が連携し、AI・IT・IoT・ビックデータなどが推進力となって第4次産業革命が起こりつつあります。

しかし、われわれは、過去の様々な事例(歴史)に学び、多角的に分析、冷静に判断して事に当たらねばなりません。「バスに乗り遅れるな!」と時流だけに流されていては、破滅へのバスに飛び乗ってしまった戦前の日本になりかねません。

そして、実行に移す場合も、スピードが要求されますが、昨今のデフレの状況下の中でどのように対応すればよいのでしょうか。

このデフレを脱却できない要因の一つとして、日本では、すべての経済主体が節約・貯蓄(いわゆる緊縮)を行っていますが、経済学の用語の「合成の誤謬」が示すとおり、一人ひとりが正しいとされる行動をとったとしても、全員が同じ行動を実行したことでマクロ的に思わぬ悪い結果を招いてしまう、つまりデフレからの脱却がいまだなされていないのが現状です。

時代は、御代替わりの令和元年。過去の状況から変革しつつある現状から目を離さず、産業界は言うに及ばす、商工会議所をはじめ、あらゆる経済主体が積極果敢にこれに取り組むべき時代が今そこに来ているのではないでしょうか。

「米中貿易戦争」と「日本における経世済民」

2019年07月 1日

米中貿易戦争にファーウェイ問題とアメリカと中国の関係が緊迫度を増してきています。昨年10月にハドソン研究所で講演したアメリカのペンス副大統領の演説をして「アメリカの中国に対する"本気の宣戦布告"~米中冷戦の幕開け」と論ずる一部論客もいるようです。あれほど、米中蜜月といわれた関係も、ここ数年で一変してしまいました。

 時代を遡ってみれば、大航海時代に始まるスペイン・ポルトガル、オランダ、イギリス、アメリカと地政学的にシーパワーの国々が覇権の攻防を繰り広げてきました。現在の覇権国家といわれるアメリカに、ランドパワー国家である中国がシーパワーの要素も絡めながらチャレンジをしているようにも見えると言われています。アメリカという虎の尾を踏んでしまったということでしょうか。

かつて、日本も日露戦争をアメリカやイギリスなどの支援を得て戦勝国となったものの南満州鉄道の利権独占という当時の政府の政策転換も要因の一つとして考えられますが、ABCD包囲網(アメリカ・イギリス・中華民国・オランダ)による経済制裁あるいは経済封鎖の対日政策を受けたと言われています。そして日本は、ABCD包囲網以降、経済的に追い詰められ、あの不幸な大東亜戦争に突き進んでいきました。では、今後の中国は、どうなるのか・・・・・・・

あらぬ憶測はさておき、現況は、日本国経済にとっても影響は大きく、犬山でも暗い影を落とし始めてきています。犬山商工会議所としても、先んじて事業所に対するフォローをしていく必要もあろうかと思います。 

そのためにも、当所のスローガンである「がんばる企業応援します!」を理念として、  まずは、現状を受け止め、がんばらなければ意味がありません。汗を出し、知恵を出す。そこから新たな展開が見えてくるかと思いますが、この循環を繰り返すことで、イノベーションを起こしていくしかないと考えます。

また、ケインズ経済学の流れをくむ「MMT」(現代貨幣理論)の議論がアメリカから沸き起こっています。長期のデフレ化に苦しむ日本において、生産性が低迷し続ける現状を打破し、日本経済全体の生産性を「根底」から引き上げるためには、「MMT」を基調とする公共的な投資が必要であると論ずる方も見えます。エネルギーインフラ、食料インフラ、防災インフラ、道路インフラ、鉄道インフラ、港湾インフラなど様々な分野の「インフラ」が整備するべき問題として存在しています。インフラを安全保障と置き換えてもよいかもしれません。

政府が、様々な事情によりこのようなインフラ整備に係る積極財政に踏み切れない現状の中、企業側も厳しい時ではありますが、同じ流れに流されるのではなく、汗を出し、知恵を出し、新たな展開を見出して、イノベーションを起こし、経済の語源である、()()(「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」)のための実働部隊として、その役割を企業として担っていきたいと考えるものです。

米中貿易戦争は、世界の平和を脅かす?

2019年06月 1日

2019年(平成31年)4月30日をもって、第125代天皇明仁(あきひと)陛下が退位され、その翌日の5月1日に皇太子徳仁(なるひと)親王が第126代の天皇に即位されました。第126代徳仁天皇は、天皇としての初めてのお言葉で「象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」と述べられました。被災地慰問や先の大戦の記憶の継承、環境問題といった各方面での今後のお取り組みについて、天皇、皇后両陛下に大いに期待しています。

世界の平和という点で、このところの米中間での深刻な貿易摩擦問題、いわゆる米中貿易戦争は足元でエスカレートし、米中のみならず、世界経済の下振れ圧力の要因にもなり、世界の平和を脅かすものとなりつつあります。国際通貨基金(IMF)は、トランプ政権による追加関税が与え得る世界経済への影響を試算し、昨年7月18日に公表しています。IMFがその試算の前提としたのは、米国がすでに実施した鉄鋼輸入制限、中国の知的財産権侵害を理由とした年500憶ドル相当の中国製品への追加関税に加えて、米トランプ政権が検討している2000憶ドルの対中追加関税(2018年9月24日に発動済み)、輸入車への25%の追加関税が、今後実際に発動されるとするものです。この場合、世界のGDPは2年間で0.5%程度押し下げられる計算となるとしています。日本もGDPが0.6%の押し下げ効果になるとされています。制裁関税を仕掛けた張本人である米国については、最も大きな影響を受け、輸入価格の上昇による個人消費の悪化などから、GDPは0.8%押し下げられると試算されています。また、IMFは本年4月3日に発表した、世界経済見通しで米中貿易協議が決裂し、双方が全品目に25%の追加関税を発動すれば、2国間貿易は長期的に30~70%落ち込む恐れがあるとの試算を示しました。製造業の国際分業が広がる中、「関税や貿易戦争の影響が世界全体に波及するリスクが高まる」と警鐘を鳴らしています。したがって、今回の米中貿易戦争は誰も得るところは無いということがいえます。

米国が問題にする中国の様々な政策のうち、知的財産に関わる政策は、知的財産の十分な保護を命じたWTOの貿易関連知的財産権協定に違反する可能性の高いものですが、だからといって米国が行っている、一方的に制裁関税を適用することは、WTOのルールに違反しているものと認められます。日本としては、米国が問題にする中国の政策のうち、WTOのルールに違反する疑いのあるものについては、あくまでもWTOの紛争解決手続きを通じて是正を求めるという原則にしたがって行動することが日本のとるべき対応と考えます。貿易赤字にせよ、産業政策にせよ、明確な国際ルールが存在しないなかで、一方的に他国の政策を不公正と判定して、制裁関税を適用することは、ルールに基づく貿易自由化を柱とするWTO体制を根底から揺るがすものと考えます。ルールの不備を埋めルールに基づく貿易自由化を柱とするWTO体制を強化する方向に努力することが必要と考えます。

世界中で戦争や飢饉などの危難がなく、皆穏やかで、世界中が平和となることを願ってやみません。

連携と交流により、思いもよらぬ花が咲く

2019年05月 1日

犬山祭りを原動力に、希望に満ち溢れた新しい地域・時代を切り開いていく。

 菅官房長官は、本年4月1日に首相官邸で記者会見し、新しい元号を「令和」(れいわ)と発表しました。万葉集にある歌の序文「初春の令月にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かお)らす」(書下し文)から二文字をとったとのことです。その後行われた安倍首相の談話の中で、「令和(れいわ)」には人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている、との説明がありました。元号を改める政令は即日公布され、皇太子が新天皇に即位する5月1日に施行されます。前号の会頭Messageで「元号が新しくなることは、新しい時代のスタートを私達に強く意識させます」と申し上げましたが、今回、元号が「令和(れいわ)」と決定され、新元号に込められた意味や、国民へのメッセージを首相談話として拝聴したわけでありますが、「希望に満ち溢れた新しい時代を切り開いていくぞ、と日本人一人一人が決意しなければならない」と改めて感じずにはいられませんでした。

さて、平成が最後となり、新しい元号が令和(れいわ)と発表された直後の4月6日(土)と7日(日)の両日にわたって、犬山祭りが開催されました。今年の犬山祭は、桜の見ごろとタイミングがピッタリ合い、過去に例を見ないほどの大勢の見物客でにぎわいました。例年にも増して熱気にあふれ、高さ8メートルの豪華絢爛な車山(やま)13両の巡行やカラクリ人形の妙技が多くの人々を魅了し、2日間の行事が成功裏のうちに終了しました。今後とも、犬山祭とこれを担う人一人一人が、希望に満ち溢れた新しい地域・時代を犬山祭を原動力として切り開いていくぞと、決意しなければならないと改めて感じた次第です。

犬山祭真っ盛りの中、当商工会議所では、友好関係にある商工会議所並びに商工会、行政等多様な団体間でのネットワークづくりの一環として、大韓民国 咸安(ハマン)商工会議所(当該商工会議所のほか、沖縄県・石垣市商工会、宮崎県・日南商工会議所、富山県・立山舟橋商工会)を含めた合同の友好交流会を開催しました。合同友好交流会そのものは、非常に和やかな雰囲気の中、情報交換や意見交換などが行われ、終始、友好的でした。しかしながら、このところの、我が国と韓国との「外交的不和が経済界にも広がる兆しが現れている」(2019.4.8(月)9:29配信 中央日報)との記事に接し、個人的には、いささか、心配に感じているところです。やっと緊密になり、果実を生み出す経済連携活動に発展しつつある咸安(ハマン)商工会議所との交流に大きな影響を及ぼすのでないかと懸念しています。

変ずれば通ず

2019年04月 1日

 2019年度がスタートします。本年度は、いろいろ新しいことが重なり、我が国の政治・経済・社会状況に変わり目が訪れる年となるのではないかと、期待半分、心配半分の心境でおります。

 近いところでは、今上天皇の退位に伴い、新天皇が即位され、改元が行われます。「各時代を表すインデックス」とも言われる元号が新しくなることは、新しい時代のスタートを私達に強く意識させるところであります。

 国内政治面では、地方統一選挙、参議院普通選挙が行われますが、この結果によっては、憲法改正を巡る政治、社会情勢に少なからぬ変化が生ずることが予想されるところであります。また、国際的に重大な事柄としては、貿易問題を巡る米国・中国間の交渉と核の完全廃棄を争点とする米国・北朝鮮間の交渉があります。これらは、その成り行きがどのようなものになるにせよ、今後の我が国の経済環境及び安全保障環境に大きな変化をもたらすことは必至であると考えております。更に、我が国の景気動向について見ますと、ここに来て、中国経済の減速等を背景に、景気動向指数が悪化し、基調判断が4年ぶりに下方修正されるに至り、いざなみ景気を超えた「戦後最長の景気回復」という政府の景気判断の是非が問われる事態となっております。今後、国際政治・経済情勢の成り行きに加え、10月の消費税引き上げによる影響が鍵となりますが、本年度が我が国経済にとっての正念場となることは否めないと考えております。

 こうした中、当会議所にとりましても本年度は、変わり目の年であります。10月末の議員、役員の任期満了に伴い、改選が行われ、人心一新の下、11月から新しい執行体制がスタートすることとなっております。加えて、事業面では、中小企業支援の中核事業と位置付ける「小規模事業者経営発達支援事業」の「第2期計画」をスタートさせることとしております。

 一般に計画は、社会経済情勢や経営環境の変化など、身の回りの変化に対応するために策定されるものであり、事業者が厳しい事業環境等の変化に対応してその事業活動をうまく変化させるためには、計画の策定とその実施が必要であることは申すまでもありません。本経営発達支援事業は、経済社会の変化の影響を受け易く、経営力の強化が必要な小規模事業者を対象に、その事業者が有する強みを見える化しこれを新しい力に変える手段として「事業計画」を策定し、その目標の達成に向けて伴走支援することに主眼を置くものであります。

 「計画の無い目標は、単なる願い事にすぎない」(サン・テグジュペリ)ということにならないよう、本年度に生ずる時代の変化を的確にとらえ、計画的に乗り切って行きたいものであります。

※「窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通ず、通ずれば則ち久し」(「易経」) 

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