会頭Message


 現在の産業や経済などについて、犬山商工会議所 会頭が
思ったこと・話したことを月に1回程度掲載します。


民族主義台頭状況の早期払しょくを望む!

2019年10月 1日

御案内のとおり、犬山商工会議所は、平成26年2月に韓国の咸安(ハマン)商工会議所と姉妹・友好提携を行い、これまで毎年4月と10月の1回ずつ相互に訪問するなどして民間交流を深めてきました。しかしながら、このところの日韓政府間の関係悪化により、本年10月に予定していた犬山から咸安への訪問が、先方から「安全を保障できない等々」との連絡を受け、断念せざるを得ないこととなりました。政府間の関係悪化が民間交流に波及した悪い結果であり、甚だ残念であります。国同士がこじれているときだからこそ、市民同士の交流が重要と私は考えます。交流をやめれば、互いを尊重し合う経済人や政治家は育たなくなり、これにより、いよいよ二国間の関係性が修復不可能となる状態に陥るのではないかと懸念しています。ここにきてますます民間交流の停滞を示す事例が増えてきており、懸念が現実とならないことを祈るばかりです。

 第二次世界大戦は、世界中で民族主義が台頭(ナショナリズムが進んだ)した結果といわれています。国境を越え、情報や人、もの、カネの移動ができた方が経済発展にかなうという考え方がグローバル経済の考え方ですが、現状の米中貿易戦争をはじめ、日韓関係の悪化は、いわゆる民族主義が台頭してきている状況を如実に表している現象と捉えることができます。このような状況が一刻も早く払しょくされ、戦争の無い、平和な世界となることを望んでやみません。民間交流が自由闊達に行える世の中となることを強く祈念します。9月号の犬山商工会議所の会頭メッセージで申し上げたとおりでございます。

互いに知恵を出し合い、打開の方向へ!

2019年09月 1日

犬山商工会議所だより2019年6月号の会頭Messageで、米中貿易戦争が世界経済に及ぼす影響について懸念するメッセージを発信しましたが、今日に至ってもその懸念は払しょくできない状況となっています。トランプ米大統領が、本年8月1日に3000億ドル相当の中国製品に同年9月1日から10%の制裁関税を課す方針を明らかにしたからです。なお、米国はその後の報道で、9月1日に発動する中国への「第4弾」の制裁関税で、携帯電話やノートパソコンなど一部品目の関税発動を同年12月15日に延期するとしました。これを受け、中国は米国産農産品の購入を停止しました。米国はまた、中国を「為替操作国」に認定しました。米中の貿易摩擦がここにきてさらにエスカレートする様相を呈しています。このままの状態が続けば、両国の景気に深刻なダメージを与え、それが日本を含めた世界経済全体に波及していく懸念が大きくなっています。代替のきかない製品までを含めて全ての輸入品を対象にした関税の引き上げ合戦は、両国にとって消耗戦以外の何物でもないと考えられます。さらに、こうした報復合戦が、中国以外の国や地域との間にも広がっていけば、自由貿易を危機にさらすことになると同時に、世界の貿易が縮小し、各国の景気を悪化させることになりかねません。いずれかの時点で、米中両国は共倒れになるリスクを回避し、世界経済への影響を阻止する行動をとる必要がありますが、そのぎりぎりのタイミングは確実に近づいているといわれています。米中両国には、世界第一位と第二位の経済大国として、自らの対立が世界経済を悪化させることを回避する義務があると考えます。

一方、米中間の貿易問題は世界経済の下振れ要因としての大きな懸念材料ですが、悪化する日韓関係は我が国経済にとって悪材料となり得るのではないかとの見方が広がりつつあります。とりわけ、韓国における日本製品の不買運動、抗議デモ等がこのところ、長期化、過激化の様相が濃厚となるなどヒートアップしつつあり、このような動きが我が国経済のみならず、韓国経済にとって少なからず下振れ要因としての影響が出ているとのデータが出つつあります。このような動きは、手続き簡略化など安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っているいわゆる「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正に向けた日本政府の作業手続きの動きに対する韓国政府の反発が直接的には起因しています。当該政令改正は、本年8月28日に施行される予定です。このままでは、日韓関係に「深刻な影響」を与えることが確実視されています。

以上のような米中関係、日韓関係ともに、少なくとも現状の対立点については、互いに知恵を出し合い、打開していく方向に向かっていくことを切に願っている次第です。戦争の無い、平和な世界となることを心より祈っています。

産学官民による産業革命!

2019年08月 1日

人類は、過去3度の産業革命を経験しております。

第1次産業革命は、19世紀のイギリスから起こりました。蒸気機関の発明により、製造における作業工程が「人手」から「機械化」になりました。

そして、その流れは、アメリカを中心とした第2次産業革命へと繋がり、軽工業から重工業への転換がなされ、「大量生産」の時代に入りました。

この間、人類は2つの大きな世界大戦を経て、冷戦の到来と終結を経験しました。ベルリンの壁の崩壊、ソビエト連邦の崩壊で冷戦が終結し、これによりコンピューター(通信技術含む)など冷戦時代に軍事部門で使用されていた様々な技術が民間産業へ転換されていきました。

生産ライン等が人間の指示によるコンピューターなどによって自動化され、生産性の向上がなされたのが第3次産業革命とよばれています。

そして今、第4次産業革命という100年に一度といわれるような大きなうねりが巻き起こっています。第3次産業革命では、産学官の連携で推進されていた技術革新等が、産学官に「市民・コミュニティーなど」、いわゆる「民」が加わって、産学官民が連携し、AI・IT・IoT・ビックデータなどが推進力となって第4次産業革命が起こりつつあります。

しかし、われわれは、過去の様々な事例(歴史)に学び、多角的に分析、冷静に判断して事に当たらねばなりません。「バスに乗り遅れるな!」と時流だけに流されていては、破滅へのバスに飛び乗ってしまった戦前の日本になりかねません。

そして、実行に移す場合も、スピードが要求されますが、昨今のデフレの状況下の中でどのように対応すればよいのでしょうか。

このデフレを脱却できない要因の一つとして、日本では、すべての経済主体が節約・貯蓄(いわゆる緊縮)を行っていますが、経済学の用語の「合成の誤謬」が示すとおり、一人ひとりが正しいとされる行動をとったとしても、全員が同じ行動を実行したことでマクロ的に思わぬ悪い結果を招いてしまう、つまりデフレからの脱却がいまだなされていないのが現状です。

時代は、御代替わりの令和元年。過去の状況から変革しつつある現状から目を離さず、産業界は言うに及ばす、商工会議所をはじめ、あらゆる経済主体が積極果敢にこれに取り組むべき時代が今そこに来ているのではないでしょうか。

「米中貿易戦争」と「日本における経世済民」

2019年07月 1日

米中貿易戦争にファーウェイ問題とアメリカと中国の関係が緊迫度を増してきています。昨年10月にハドソン研究所で講演したアメリカのペンス副大統領の演説をして「アメリカの中国に対する"本気の宣戦布告"~米中冷戦の幕開け」と論ずる一部論客もいるようです。あれほど、米中蜜月といわれた関係も、ここ数年で一変してしまいました。

 時代を遡ってみれば、大航海時代に始まるスペイン・ポルトガル、オランダ、イギリス、アメリカと地政学的にシーパワーの国々が覇権の攻防を繰り広げてきました。現在の覇権国家といわれるアメリカに、ランドパワー国家である中国がシーパワーの要素も絡めながらチャレンジをしているようにも見えると言われています。アメリカという虎の尾を踏んでしまったということでしょうか。

かつて、日本も日露戦争をアメリカやイギリスなどの支援を得て戦勝国となったものの南満州鉄道の利権独占という当時の政府の政策転換も要因の一つとして考えられますが、ABCD包囲網(アメリカ・イギリス・中華民国・オランダ)による経済制裁あるいは経済封鎖の対日政策を受けたと言われています。そして日本は、ABCD包囲網以降、経済的に追い詰められ、あの不幸な大東亜戦争に突き進んでいきました。では、今後の中国は、どうなるのか・・・・・・・

あらぬ憶測はさておき、現況は、日本国経済にとっても影響は大きく、犬山でも暗い影を落とし始めてきています。犬山商工会議所としても、先んじて事業所に対するフォローをしていく必要もあろうかと思います。 

そのためにも、当所のスローガンである「がんばる企業応援します!」を理念として、  まずは、現状を受け止め、がんばらなければ意味がありません。汗を出し、知恵を出す。そこから新たな展開が見えてくるかと思いますが、この循環を繰り返すことで、イノベーションを起こしていくしかないと考えます。

また、ケインズ経済学の流れをくむ「MMT」(現代貨幣理論)の議論がアメリカから沸き起こっています。長期のデフレ化に苦しむ日本において、生産性が低迷し続ける現状を打破し、日本経済全体の生産性を「根底」から引き上げるためには、「MMT」を基調とする公共的な投資が必要であると論ずる方も見えます。エネルギーインフラ、食料インフラ、防災インフラ、道路インフラ、鉄道インフラ、港湾インフラなど様々な分野の「インフラ」が整備するべき問題として存在しています。インフラを安全保障と置き換えてもよいかもしれません。

政府が、様々な事情によりこのようなインフラ整備に係る積極財政に踏み切れない現状の中、企業側も厳しい時ではありますが、同じ流れに流されるのではなく、汗を出し、知恵を出し、新たな展開を見出して、イノベーションを起こし、経済の語源である、()()(「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」)のための実働部隊として、その役割を企業として担っていきたいと考えるものです。

米中貿易戦争は、世界の平和を脅かす?

2019年06月 1日

2019年(平成31年)4月30日をもって、第125代天皇明仁(あきひと)陛下が退位され、その翌日の5月1日に皇太子徳仁(なるひと)親王が第126代の天皇に即位されました。第126代徳仁天皇は、天皇としての初めてのお言葉で「象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」と述べられました。被災地慰問や先の大戦の記憶の継承、環境問題といった各方面での今後のお取り組みについて、天皇、皇后両陛下に大いに期待しています。

世界の平和という点で、このところの米中間での深刻な貿易摩擦問題、いわゆる米中貿易戦争は足元でエスカレートし、米中のみならず、世界経済の下振れ圧力の要因にもなり、世界の平和を脅かすものとなりつつあります。国際通貨基金(IMF)は、トランプ政権による追加関税が与え得る世界経済への影響を試算し、昨年7月18日に公表しています。IMFがその試算の前提としたのは、米国がすでに実施した鉄鋼輸入制限、中国の知的財産権侵害を理由とした年500憶ドル相当の中国製品への追加関税に加えて、米トランプ政権が検討している2000憶ドルの対中追加関税(2018年9月24日に発動済み)、輸入車への25%の追加関税が、今後実際に発動されるとするものです。この場合、世界のGDPは2年間で0.5%程度押し下げられる計算となるとしています。日本もGDPが0.6%の押し下げ効果になるとされています。制裁関税を仕掛けた張本人である米国については、最も大きな影響を受け、輸入価格の上昇による個人消費の悪化などから、GDPは0.8%押し下げられると試算されています。また、IMFは本年4月3日に発表した、世界経済見通しで米中貿易協議が決裂し、双方が全品目に25%の追加関税を発動すれば、2国間貿易は長期的に30~70%落ち込む恐れがあるとの試算を示しました。製造業の国際分業が広がる中、「関税や貿易戦争の影響が世界全体に波及するリスクが高まる」と警鐘を鳴らしています。したがって、今回の米中貿易戦争は誰も得るところは無いということがいえます。

米国が問題にする中国の様々な政策のうち、知的財産に関わる政策は、知的財産の十分な保護を命じたWTOの貿易関連知的財産権協定に違反する可能性の高いものですが、だからといって米国が行っている、一方的に制裁関税を適用することは、WTOのルールに違反しているものと認められます。日本としては、米国が問題にする中国の政策のうち、WTOのルールに違反する疑いのあるものについては、あくまでもWTOの紛争解決手続きを通じて是正を求めるという原則にしたがって行動することが日本のとるべき対応と考えます。貿易赤字にせよ、産業政策にせよ、明確な国際ルールが存在しないなかで、一方的に他国の政策を不公正と判定して、制裁関税を適用することは、ルールに基づく貿易自由化を柱とするWTO体制を根底から揺るがすものと考えます。ルールの不備を埋めルールに基づく貿易自由化を柱とするWTO体制を強化する方向に努力することが必要と考えます。

世界中で戦争や飢饉などの危難がなく、皆穏やかで、世界中が平和となることを願ってやみません。

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